
Photo by
snafu_2020
詩「食器洗い」
スポンジの上に
水で溶かした薄い洗剤をポトリと落とす
私の掌の中で グシャリと顔が潰れた
皿の上を白い泡が滑る
こびり付いた深い汚れを落としてくれる
生活の隙間に入り込んだのは
赤くはなりきれない
青白い声には出せない溶けた怒り
そこが焼けて黒くなっているのだ
いつか流そうと思っているのだけれど
手が小刻みに震えて
なかなか流せない
そればかりか
白いフワフワな泡でも
この黒は落ちてくれそうにない
手の水分と油が持って行かれる
両手が徐々に荒れていく
裂けたところから血が溢れてくる
水に触れる度に堪らなく沁みる
そんな痛み どうでも良い
無作法に放り投げられた
心の奥に沁みていく
もどかしい言葉の響きに
くらべれば
(今日も 表に出せない感情が
泡と一緒に渦をまいて流れて行く…。)