詩「エデン」
世界は温かい光に包まれて
僕には言葉が必要なかった
ただ
存在していれば良かった
五感を研ぎ澄ませる必要などない
空気と同化しているから見つかりっこない
自然と調和して一体化していれば
時は下へと降り注いだ
逃げることもなければ
追われることもない
僕の毎日はタイトルのない抽象画
誰にも
理解してほしくないし
理解できるはずもない
欠けている白いパズルのピース
探そうともしないし
探してほしくもない
このまま時が止まってくれるのなら
そうなっても別に支障はなかった
しかし ある日
脳は視覚から得た情報を記憶しだした
頭の中で何度も蘇る輪郭を追う
口の中からポロポロと単音が溢れ落ちる
目の前の二人が必死に拾い 意味を持たせる
特別な意味を
僕の世界に光と闇が入り込んでくる
止められないし
止まらない
ぼんやりとしていた あなたの顔が
僕にはハッキリと見えた
昨日までの世界がひっくり返る
僕のすぐ目の前で笑う
あなたの顔は美しかった