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詩「迷宮メロン」



甘い香りが鼻腔にこびり付いて離れないから
僕は簡単におかしくなる
何も載っていない掌を見つめては
その上に金の塊を見る
掴んでいる
僕は絶対に掴んでいる
(群がる人々が好んでいるのは、僕の見た目か、財産か、それとも中身か?)

吸っている息が重苦しい
体の端に ちゃんと届いているのか確認できない
乱暴に果肉にフォークを刺したら
目に飛び込んできた黄緑色の汁が異物になった
僕の人生を妨げる
メロンは果物の王様じゃなかった
王様じゃなかった

メロンの網目の始まりと終わりは何処なのか?
作りものじゃないから分からない
僕はメロンの網目で出来た道を
行ったり来たりしては
人生を甘く見積もった自分を
ようやく呪った

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