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詩「旅立ちの前に」


名前の付いていない
感情の渦の中
まだ何も知らない花が咲こうとしている
冷たい空気が張り詰める

山奥で見た事も無い動物の影が蠢く
見えない境界
うっすらとした曖昧な線
白い呼吸をして
大地を踏み締め
ただ強く生きようとしている
生きる為に生きている
体中が熱で燃えている

灰色の厚い壁に囲まれ
まだ若い人は
感情を押し殺して
これで合っているのか
何度も何度も確認をする
誰とも目が合わない
頭の中 ただ一人反芻をする
確認など出来るはずもない
答えを知っている者は地球にはいない
短い生の中で
自分で何かを決めるしかない
誰も責任は持ってはくれない
深く腰を下ろし自分で担ぐ

情熱と焦燥がぶつかる
焦りを隠して息をする
深く目を瞑り
まだ誰も知らない明日へと託す
旅立ちの前に…

生きようとする者の前には
目を凝らせば
どんなに小さくとも
希望はあるのだ
縮こまるな
冷たい風に押されながらも前へ進め

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