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詩「あの夏」


あの夏は いつもとは違う
光と熱とあつさのようでした

私は この季節になると
立ち止まり
目を瞑り
人々の声なき声について想いを馳せるのです

どこまでも続いていく道が何らかの力によって
次の日にはなくなってしまう
強烈な風が全ての権利を吹き飛ばす
曲がるはずのない物が変形する
何も理解が出来ないまま存在できなくなる
それがあのときでした

発せられる言葉は本当の想いではなく
伝えたかった言葉達は魂の底に沈んでいた
それをまるごと抱きしめて行った
自身が生まれてきた世界を振り返ることもなく…

今年の至上最高気温更新のニュースを聞きながら
暑さに悶え
横になり目を瞑る

それでも私は
あの夏の真のあつさを
今も知らないままでいられているのです


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