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詩「残響」


あなたの低く優しい声が
鼓膜の内側を揺らす
例え
脳が忘れてしまっても
きっときっと 耳の奥が覚えている

あなたにとって
私だけが
特別な存在なんかじゃなくて…
気怠い甘い夜に
止まらない夢に溺れてしまっていた
月が照らす夜の入り口の前で立ち尽くす
約束の無い待ち合わせ
報われないリフレインに
ただ笑う

待ち侘びている地球は
規則正しい周回に
また溜め息を吐く
時は
悪戯に急ぐだけで
決して待ってはくれない

失われていく街の中で
忘れかけた頃に
ふいに 低く優しい声
(私以外の誰かに呼びかける。)

吹き抜けた風は遠くに散った
こんな風に耳に残る
あなたの残響

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