「クライアントとデザイナーの対立を終わらせる会」@青山ブックセンター本店【出版記念イベント】
8/8(火)、青山ブックセンター本店にて、『すべての仕事はデザインから始まる。』の刊行記念として、トークイベント「クライアントとデザイナーの対立を終わらせる会」が開催されました。
著者のカイシトモヤさんとデザイン、設計、ディレクションなど、20年以上、第一線で手を動かし続けている鷹野雅弘さんのお二人にご登壇いただきました。
『すべての仕事はデザインから始まる。』は、7月28日にクロスメディア・パブリッシングから発売された新刊です。デザイン依頼をするクライアントの立場にある人と共に、クライアントとのコミュニケーションを円滑に行いたいデザイナーに向けられた一冊となっています。
今回、クロスメディアグループ代表の小早川がモデレーターを務め、7つのテーマでお二人にお話いただきました。
①知識
発注者はデザインの知識が無いと不安を覚えます。知識とは、相⼿とのコミュニケーションを円滑に行う為のツールだといいます。一方で、知識を得ることによって過剰に自信がつき、失敗につながる可能性もあります。
ある程度知識を得たら、抽象と具体のバランスをとりながら、依頼することが重要です。抽象と具体のどちらかに偏ってしまうとデザイナーの製作への意欲が減ってしまい、パフォーマンスを発揮することができなくなります。
②経験
近年、デザイナーでない方に向けて、SNSやWebサイトで様々な情報が発信されています。しかし、それらの情報だけでは不十分で、自ら経験を積み、どう効率化させるかを考えることが重要だといいます。ある程度経験を積むと、日々の作業の「無駄」が見えるようになります。
また、経験は決して誇示するものではなく、お互いのゴールを見据えながら、発注者とデザイナーの「手持ちのカード」ととらえることが大切です。そうすることで、ればることで、お互いの経験がかけ合わさり、より精度の高いアイデアや表現へと昇華させることができます。
③実績
実績が出てくると、つい傲慢になってしまうデザイナーもいます。しかし、クライアントへ横柄な態度で接していると、実績があったとしても、徐々に仕事がなくなってしまいます。高額の発注額を提示されることや横柄な態度などが懸念されるからです。
親しみやすい雰囲気づくりやホスピタリティの精神を持つこと、コミュニケーションツールを上手く使いこなすなど、些細な気遣いができるかどうかが大切になってきます。
④敬意
呼び方一つでも、相手に対しての敬意を示すことができます。発注先を「業者」と呼ぶのではなく、担当者の方の名前で呼ぶことで、対等の立場でコミュニケーションをとることができます。
職種や立場問わず、人は誰もが違う考え方や価値観を持っています。それを前提にしてお互いを尊重する姿勢をもつと、気持ちよく仕事をすることができ、アウトプットの質も変わってきます。
⑤立場
立場の違う人と仕事をするには、基本に立ち返って「思いやりの精神」を持つことが大切です。相手の視点に立って考えることです。
また、「こうしたい」という意志や希望があるのであれば、相手に察してもらうという態度ではなく、前もってきちんと伝えておくことが大切です。具体的に「自分は何をしたいのか」「何をしたくないのか」を明確にすることです。
⑥お金
発注時に金額の提示を行いますが、最初の段階で予算をどのくらいにするのかをはっきりさせることで、相手に対して誠意があることを伝えることができます。
また、デザインによっても値段が変わるので、クライアントとコミュニケーションをとりながら、相手の要望に合わせて金額を柔軟に提案する必要もあります。
⑦結果
結果によって、デザイン担当者が出世することもあります。また、同じクライアントから別の機会でデザインを依頼されると、経験による安心感で良いパフォーマンスを発揮することができます。その結果、次の発注にも繋がっていきます。
今回のトークイベントでは、クライアントとデザイナーのコミュニケーションの心構えやポイントを中心に、お話をいただきました。
会場には多くのデザイナーやクリエイター、デザインに関わる人たちが集まりました。書籍には書かれていないエピソードや創作背景など、裏話も飛び出し、会場内は笑顔に包まれていました。
イベント参加者からは、「クライアントとデザイナーが共に物語をつくっていくという考え方が印象的だった」「現場で活躍されているお二人の話に共感できた」という声もいただいています。
『すべての仕事はデザインから始まる。』は、デザイン発注という枠を越えて、多くの人を巻き込むための気遣いや視点、日常生活の中での人間関係に使えるコミュニケーションのポイントについて学べる一冊です。
ぜひこの機会にご一読いただければと思います。