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「静かな挑戦者たち」

2/14(金)放送「ガイアの夜明け」を見た。シリーズ「理想の介護社会へ」と題して、介護業界の時代の変化に揉まれる2つの介護事業所が取り上げられていた。

世田谷を拠点に地域密着型の居宅介護サービスを提供しつづけるNPO法人「わかば」。地域の訪問介護を一手に担う砦として利用者からも信頼されてきたが、ケアマネと経営者を兼ねる代表者が75歳と高齢であること、また、介護報酬の引き下げに伴う長引く財政難から、年内での事業所閉鎖を余儀なくされる。

事業所閉鎖に伴い、他事業所への利用者の引き継ぎに奔走する代表者だが、引き継ぎ先との交渉が思うようにまとまらず、利用者の行く末がなかなか決まらない。

閉鎖のタイムリミットが迫る中、「利用者最優先というポリシー」だけは、何としてでも譲るわけにはいかなかった。

番組の後半では、新興の居宅介護支援事業所「A-smile」が取り上げられる。神奈川から東京エリアの一部ですでにシェアを拡大しつつあり、新進気鋭の事業所として注目される勢力だ。

外資系企業を親会社にもつこの事業所の特徴は、「ビジネスの視点を取り入れた経営」である。新規利用者数、顧客満足度、営業件数など、あらゆる要素を徹底的に数値化し、ノルマとして社員に課すことでサービスの質向上を目指す。

戸惑いつつも日々、新規開拓のための営業に走り回る介護スタッフの姿からは必死さが伝わってきた。

介護現場に当事者として身を置いている以上、「介護=ビジネス」という概念にはいささか抵抗を感じるが、これからの時代、経営的なバランス感覚がなければ介護業界もうまくいかないのだろう。

時に採算を度外視してでも利用者に寄り添った介護を貫こうとする「わかば」と、稼げる介護をビジネスという枠組みで実現しようとする「A-smile」。

一見、相容れない立場に思える2つの事業所だが、ともに介護の今をとらえ、時代の波に立ち向かっている点では共通している。

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