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#香港
2022年上半期の香港カントポップ(2):注目の新曲と新人
前回の記事では、2022年の上半期、とりわけ4〜6月の間に香港でよく聴かれていた歌をSpotifyの再生数データに基づいてまとめた。
今回の記事では、同じ4〜6月にリリースされた曲の中で、再生数データは前回取り上げた楽曲には及ばないけれども、個人的に気に入ったものをいくつか挙げる。
完全に主観に基づくものなので好みだ。というわけで「なんでアレが入ってない」というのもたくさんあるかもしれないが、
【未定義的衝撃:Mirror現象と国安法時代の香港カントポップ】 序:暗い時代に歌う歌
ナチス時代に亡命生活を送ったドイツの劇作家ブレヒトは1939年の詩集の中でこう書いた。
彼が生きた時代がどんなに暗いものだったかは、間接的に想像するしかできないし、それを現代と比較することが適切なのかどうかはわからない。
けど最近の香港の様子を見ていると、この「暗い時代」という言葉をついつい思い浮かべてしまう。
2020年6月末に制定された国家安全維持法(国安法)によって、香港には大きな変化
勝手にカバーソング~翻唱天堂ヘようこそ!~
私は「広東語カバーソング事典 日曲粵詞翻唱大典」https://www.facebook.com/CantoneseCoverSongs/
というFacebookページを主宰しています。
なにそれ?と思われる方がほとんどでしょう。
このFacebookページでは、日本の曲に広東語の歌詞をつけたあらゆるカバー曲を、歌手のあいうえお順に掲載しています。
ページの開設はまだ2年ほどで日が浅く、フォロ
ひとりで吉野家を食べてたら親戚に見られた歌 【居心地の悪い本土主義: My Little Airport私論①】
「ひとりで吉野家食べてたら親戚に見られた」というタイトルの歌がある。
もう歌詞の中身は、そのまんまだ。主人公がひとりでおいしく吉野家を食べてたら、あんま会ってない親戚が同じ店内にいて、しかもこちらに気づいてしまうのだ。
「ひとりメシ」なんて言葉ができるくらい一人で外食するのも当たり前になったけど、やっぱり依然ハードルはある。気にせずできる人もいるけど、その場を知り合いに見られたりしたら、やっぱ
長年香港音楽界を牽引してきた「張敬軒(Hins Cheung)」について
張敬軒(Hins Cheung)粤(Zhöng1ging3hin1)普(zhang1 jing4 xuan1)
軒公
「張敬軒(Hins Cheung)」は、第37屆十大中文金曲頒獎で全年最高銷量歌手大獎を獲得し、それまでの七年間の陳奕迅一強独占状態を打ち破った。香港だけでなく、大陸でもTikTokでも話題になり注目されている歌手である。現状、新「歌神」の席にももっとも近い歌手といえるだろう。