長年香港音楽界を牽引してきた「張敬軒(Hins Cheung)」について
張敬軒(Hins Cheung)粤(Zhöng1ging3hin1)普(zhang1 jing4 xuan1)
軒公
「張敬軒(Hins Cheung)」は、第37屆十大中文金曲頒獎で全年最高銷量歌手大獎を獲得し、それまでの七年間の陳奕迅一強独占状態を打ち破った。香港だけでなく、大陸でもTikTokでも話題になり注目されている歌手である。現状、新「歌神」の席にももっとも近い歌手といえるだろう。香港四大テレビ、カナダラジオ局などの賞において常にトップに君臨し続けてきた。
香港の受賞歴を見るとEasonには少し劣るものの、カナダの至HIT推祟男歌手奖は二強状態
歴代の公認「歌神」
歴代「歌神」は、大衆に認知されかなりの影響力を持っていたが、「張敬軒(Hins Cheung)」は十大金曲獎受賞、カラオケランキングだけでなく、「抖音」での人気も高い。この意味で、新時代の(2,010年以降)「歌神」の称号を受け継ぐ実力はあるだろう。今のところ空席となっているので、誰がこの称号を受け継ぐのかは楽しみである、女性だと鄧紫棋がこの席に最も近いが、香港への貢献かと問われれば少し違うような気がするので、香港を拠点に広東語をメインに活躍している歌手がふさわしいだろう。張敬軒には、ここ20年は廃れていく一方だったカントニーズポップを引っぱるような活躍を期待されている。
酷愛(粤)吻得太逼真(国)
抖音(Tiktok)で2017-2018年に人気だった「只是太愛妳」
香港の歌手が、香港のみでしかヒットしない要因に言語の違いがある。香港市場が中国市場に比べ小さすぎるため、大ヒットを達成しようとすると、マンダリンでの歌唱を余儀なくされるのが現実だ。
90年代後半ごろまでは、優秀な人材がいたり、まだ市場が飲み込まれていなかったため、中華圏における香港歌手の存在感は強かったが、その後徐々に香港音楽界の勢いはなくなっていった。
例えば、張学友は、広東語アルバムと普通語アルバムをほぼ交互に発売したり、普通語アルバム《吻别》が400万枚も売れ多くの記録を打ち立ちたてているが、このことから、この時代でさえ大陸・台湾は重要な市場であったと言えるだろう。さらに、それ以降顕著なのは、陳奕迅(Eason Chan)や李克勤が、普通語曲で大陸でヒットしたり、中国の番組で活躍して人気を獲得しているケースや、香港だけでしか知られていなかった鄧紫棋が、我是歌手の出演後大ヒットし、その後路線変更して世界的に有名になったケースがある。
そして、今回のように張敬軒(Hins Cheung)が普通語で「只是太愛妳」を歌い、それが大陸のショートムービーで大ヒットしたことを考慮すると、やはり大陸を視野に入れた戦略が不可欠であり、自身の言語での表現だけでは受容されにくい。香港の文化消滅を防ぐために、広東語だけで歌おうと思うとヒットしにくいため、普通語での歌唱を余儀なくされている点は非常に難しい問題となっている。できれば広東語メインのままで活躍してほしい・・・
ほかにも有名な曲に、櫻花樹下、春秋、斷點、百年樹木、缺、My Way(粤/普)など、Youtubeでの再生回数は100万回を超えているのも多い。
カバーで人気な2曲
楊千嬅《少女的祈禱》
《囍帖街》
他にもいろんな歌手のコンサートにゲスト出演し男女問わず美しいデュエットをいくつも生み出してきている。今年2021年はMirrorの台頭によって、5強が1:4の図式になったが(張敬軒とMirrorメンバー四人)彼は若者の台頭に対し香港音楽シーンを盛り上げていくのに彼らが活躍しているのは嬉しいと答えつつ、中堅ベテランもともに盛り上げようといった意思をインタビューで答えている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?