白い息
少し離れた場所から
あなたの吐く息を見ていた
白さはすぐに散らばって
あとかたもなく消えてしまう
後ろ姿だけれど
見ているものはわかる
風に髪がふわりと揺れて
あなたが振り向こうとする
この瞬間を忘れないように
僕はすべてを受け取る
雲が晴れたようなその顔
駆けよってくる足音
道の両側に小さな店が並び
物売る人の声は大きいはず
でも僕には何も聞こえない
すべてが静まり返っている
あなたは売り子たちと話し
人混みをかき分けて進む
後に続く僕はといえば
高く飛ぶ鳥を見上げていた
そうあれが
はじめての日
かじかむ手と青い空
喧噪を外れた細い道
人気のない長い坂
蔦の這う古い建物
すべてが輝き
すべてが寂しく
よそ者になったような街で
僕たちはふたりぼっち
肩をぶつけ合いながら
しばらくは黙って歩く
僕が昔を思い出した頃
あなたが未来を話しはじめた
そうあれが
望みが生まれた日
僕は同じ道を歩く
通り行く人の会話も
呼び込みの大きな声も
今は耳に押し寄せる
突然風が通り過ぎる
懐かしい匂いがした
どこにも姿はないけれど
たしかにあの日と変わらない
ここにいるよ
あれからずっと
ここにいるよ
いつまでもここにいる
冬がまた来る
僕は白い息を探す
Don't Forget
※多少の刺激を得ていることを除けば、この詩と動画の曲は関係はありません。
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