Book Review:『学び合い,発信する技術 ーアカデミックスキルの基礎』
1. 本の紹介
『学び合い,発信する技術 アカデミックスキルの基礎』(岩波ジュニア新書)は、林直亨氏による、知的活動の基盤であるアカデミックスキルを網羅的に解説した入門書です。
本書は、大学教育や研究の場だけでなく、ビジネスや日常生活でも役立つスキルとしての「対話」「プレゼンテーション」「ライティング」「リーディング」をわかりやすく解説しています。
著者は運動生理学や健康科学を専門とする研究者ですが、本書では幅広い知的活動に応用可能なスキルの重要性を説き、現代社会における「情報を集め、共有し、発信する力」を養う方法を提示しています。
2. 目次
アカデミックスキルの概要
対話を楽しもう ―よく聞き、意見を共有し、質問を考える
プレゼンテーションで広めよう ―エトス、パトス、ロゴス
ライティングで伝えよう ―段落構成と一文一義
リーディングで知識を仕込もう ―ライティングを意識して古典を読もう
ピアレビューで互いに成長しよう ―共感的にアドバイス
大学院で学ぶアカデミックスキルとは
アカデミックスキルを使って考えたい今後の社会
3. 本書の重要なキーワード
アカデミックスキル:対話、プレゼン、ライティング、リーディングなど、知的活動を支えるスキル全般。
エトス・パトス・ロゴス: 倫理・情熱・論理
一文一義:ライティングの基本ルールで、文章を簡潔にするための原則。
ピアレビュー:互いに作品を評価し、フィードバックを与えることで成長を促すプロセス。
リベラルアーツ:アカデミックスキルの背景としての教養の重要性。
対話力:意見の共有や質問を通じて深い理解を得る力。
知識の再現性:アカデミックスキルの目的として、他者にわかりやすく知識を伝える能力。
4. 本書の注目すべきポイント
スキルを実践的に学べる内容
本書は理論だけでなく、対話やライティングの具体的な方法を詳しく解説しています。特に「メモを取る習慣」や「段落構成の工夫」など、すぐに実践できるアドバイスが豊富です。大学生だけでなく社会人にも有用
本書は大学での学びを基盤としながらも、ビジネスや日常生活で活用できるスキルを取り上げています。たとえば、「プレゼンテーションにおけるエトス・パトス・ロゴス」や「対話ツールの活用」は、あらゆる場面で役立つ内容です。
リベラルアーツの視点
アカデミックスキルは単なる技術ではなく、リベラルアーツ(教養)の一環であることを強調しています。幅広い知識と視点が、スキルを磨くために欠かせない基盤となる点が印象的です。ピアレビューによる成長
自分の書いたものを他者に評価してもらう「ピアレビュー」の重要性を詳しく解説。共感的なフィードバックが、個人とチームの成長に寄与することを説いています。未来の社会を見据えた視点
最終章では、アカデミックスキルが未来のテクノロジーや社会問題の解決にどう寄与するかを考察。スキルを活用して社会に貢献する可能性を示唆しています。
5. 本書を薦めたい読者層
大学生・大学院生
学びの基盤となるスキルを効率よく身につけたい学生に最適です。若手研究者
論文執筆やプレゼンテーションスキルを向上させたい人におすすめです。ビジネスパーソン
プレゼンや対話力、ライティングのコツを学び、仕事で活用したい社会人に有用です。教養を高めたい読者
知的活動全般に興味があり、自分のスキルを磨きたい読者にも適しています。
まとめ
『学び合い,発信する技術 アカデミックスキルの基礎』は、アカデミックスキルを初めて学ぶ人からスキルをさらに深めたい人まで、幅広い読者に役立つ一冊です。
知的活動の基盤を構築し、情報を効果的に発信する力を身につけたい人にとって、実践的で分かりやすい内容となっています。大学や研究、ビジネスの現場で生かせるスキルを学びたい人にぜひおすすめです。