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あをによし奈良の都の返り咲き。もう鹿だけとか言わせない
東大寺、春日大社、
昔ながらの町並みが残る「ならまち」など…
奈良には古から紡がれてきた穏やかな時間の流れがあります。
そんな古都奈良で300年の時を重ねてこられたのが中川政七商店さんです。
創業は1716(享保元)年。
高級麻織物「奈良晒」を扱ってこられました。
「日本の工芸を元気にする」
今ではそんなビジョンを掲げ、職人の手仕事の魅力を再発見し、私たちの暮らしを豊かにする商品を生み出しています。
私も大好きな中川政七商店さんの魅力をご紹介します。
残念な奈良
今から約20数年前。
私は奈良にいました。
大学で歴史を専攻し、奈良の遺跡で発掘調査に明け暮れる毎日。
その後迎えた就職活動に苦戦し、やっとの思いで就職したのも奈良の会社でした。
離れて10数年が経つ今も、思い出と恩義のある奈良のまちが大好きです。
度々訪れ心を癒やす、大切な場所です。
私は奈良にいた当時、このまちを残念に思っていました。
それは奈良に漂う負のイメージ、というか悪口
・鹿しかおらん
・観光客が日帰りする「京都のおまけ」
・座ってお客を待ってるだけの「大仏商売」
・文豪の志賀直哉には「食ひものはうまい物のない所だ」と書かれ、その呪縛を背負うまち
ついには奈良の人まで
「何もあらへん」と言う始末…
歴史、文化、そして京都とはまた違った趣にあふれた素晴らしいまちなのに。
なんだか地味でパッとしなくて野暮ったい。
気の利いたお土産もあまり見当たりませんでした。
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中川政七商店との出会い
そんな私の奈良のイメージを、ガラリと変えたのが中川政七商店さんでした。
2021年4月、近鉄奈良駅から徒歩約10分。
興福寺や猿沢池のすぐ近くに奈良本店/鹿猿狐ビルヂングが開業しました。
私が奈良に行くと必ず訪れる場所です。
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1階には東京恵比寿に本店がある「猿田彦珈琲」さん。
酸味の強い珈琲が苦手な私が、浅煎りにハマったお店。
そして2階には、大きな窓と木に囲まれたモダンでも落ち着いた空間に、手仕事が生み出すセンスの良い商品が並びます。
奈良の伝統産業品のひとつである蚊帳生地を使った定番「花ふきん」をはじめ、行くと必ず何かを買ってしまう、魔性の空間です。
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(写真:公式HPから)
なぜそんなに、中川政七商店さんが好きなのか。
それは、蚊帳のように時代とともに売れづらくなった商品の良さを引き出し、魅力あるものに。
私が大事にしたいと思う伝統工芸の技を未来に継ごうされているから。
その思いがこもった商品のデザインや使用感が素晴らしいから。
そして、私の好きな奈良の「見え方」を変えてくれたからです。
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(写真:公式HPから)
商品が好き
食器、日傘、日用雑貨に化粧品…
どの商品も優しく、そして私の日常に馴染んでいます。
伝統工芸品を現代の暮らしにあったものへと作り変える取り組みは、全国にあります。
でも、何かが違うことがある。
不自然だったり、やけにキラキラしていたり。
本質的な良さが失われているもの、デザインがイマイチなものも見受けられます。
でも、中川政七商店のものは、元の良さをうまく引き出していると感じます。
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(右)ティッシュカバー
かなり長く愛用している
職人の手仕事を大切にしながら、現代の暮らしに寄り添う商品の数々。
おしゃれだけど、やりすぎない。
飽きのこないデザインで長く使えるもの。
とにかく使っていて愛着が湧く。
繕ってでも使いたくなるもの。
私がこれまで買った商品で、消耗品以外、捨てたものはありません。
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器も中川政七商店さんで購入したもの
接客が好き
私は奈良本店のほか、京都や大阪の店舗にも伺います。
店員さんは、聞けば親切に、そしてにこやかに対応してくれます。
親しみを感じながら馴れ馴れしくはない。
その距離感がとても心地いいのです。
そして商品をとても丁寧に扱われる。
陶器などは検品しながら磨き、梱包してくださいます。
その手つきに、商品に対する愛情をとても感じます。
だからこそ、
受け取ったこちらも大切にしたい。
そう思わせてくれるお店です。
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商品を買うと、
メールでアンケートが届きます。
私は、いつも回答しています。
「今回も良い商品と出会えました。心地よい対応、ありがとうございました」と。
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保湿、使用感も◯
奈良が“日本”を支えていく
中川政七商店さんは、いかにも奈良なのです。
私の大好きな奈良を感じる。
静かで落ち着きがあって、ちょっと控えめで。
でも歴史があって、深みがあって、他にはない価値がある。
大切にしたい品がある。
失われてはいけない質がある。
私にとっては、流行りに乗ったSDGsより、
これ見よがしのリサイクルよりも、ずっとずっとしっくりきます。
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お正月以外にも日常使いできる
良いものを長く使い続ける
職人さんにも作り続けられる仕組みを
そして、日本が日本であるための「工芸」が受け継がれていく。
「日本の工芸を元気にする!」との思いが込められた商品には、今とこれからの日本に大切なものがたくさん詰まっていると感じています。
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今年の年賀状用に購入したもの。
筆ペンの穂先に職人仕事が生きる。
とっても書きやすかった
価格は少々高めなものも。
度々買い足すのは難しいものもあるかも知れません。
ただ、このお店の商品があるだけで、日常が少し豊かになる。
暮らす空間が美しくなる。
私は1,000円のものを10回買うより、1万円のものを10年使いたい。
そんなにたくさんのものも、もういらない。
だから、価格に見合う、むしろそれ以上の価値を感じています。
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今は茶筒として活躍中
日本に受け継がれた仕事と暮らしを継いでいく。
奈良で紡がれた物語が、全国の職人の手仕事を救うかもしれません。
もう鹿しかいないとは言わせないぞ。
中川政七商店さんは、モノにあふれた暮らしの中で、失いかけていた大切なことを思い出させてくれます。
モノを慈しむことを通して、心豊かな暮らしとは何か。自分自身の生き方と向き合う時間になっているのかもしれません。
これからも私は、中川政七商店さんを推したい。
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何だか寄せてしまって思うように書けないからです。
今回はちょうど、中川政七商店さんをご紹介したいと思っていたところだったので、参加してみました。