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エコビレッジでの子育てが家族の枠組みを超えてもたらす可能性
こんにちは。
先日、出身である教育学部比較教育社会学コース(通称:比教社)のOB会報に、エコビレッジについて寄稿させていただきました。
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今回は、その内容に一部加筆して、エコビレッジでの子育てについて書いてみたいと思います。
これまでの研究をベースとした記事というよりは、個人的な思いも交えたコラムに近い読み物となりますが、気楽に読んでいただければ嬉しいです。
エコビレッジ育ちの子どもとの出会い
私は初めてエコビレッジを訪れてそこに暮らす子どもたちと接したとき、本当にのびのびと、自分の意思を強く持って主体的に育っている様子に感銘を受けました。
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都会生まれ都会育ちの私は、親が転勤族で幼い頃から点々としながら育ったため、「ふるさと」と呼べる場所がありません。生まれ育った場所や地域のつながりと呼べるものもなく、周りにいた親しい大人と言えば親だけでした。
そんな私からすると、生まれたときから親以外の大人たちからもたっぷり愛情を注がれ、兄弟以外の歳の近い子どもたちと一緒に育つ子どもや、そうしたエコビレッジの子育て環境はとても魅力的に見えました。
そんな子どもたちの様子に刺激されて、大学3年時の調査実習(都内某区の中学生に対するアンケート設計・実施・回収・分析まで1年間かけて行う社会調査の実習授業)では、「親以外の大人との関わりが、子どもの自尊感情にどのように影響するのか」というテーマで研究しました。
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その結果、「親以外に相談できる大人の数が多いほど子どもの自尊感情は高まる」という考察が得られたので、エコビレッジの子どもの自尊感情は相当高いのではないかと考えています。
自然の中で育まれる、感性と主体性
そして、豊かな自然の中を存分に走り回って育つ子どもたちは、遊びの天才です。大人が何もしなくても、自分で自然の中に遊びを見つけて、勝手に楽しめるのです。
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親は、「あれをしなさい」「これをしちゃダメ」と口うるさく言うことは少なく、子どもの自ら育つ力を信じて任せていることが多いように思います。見ているこちらとしては危険じゃない?とドキドキしてしまうようなことも、何も言わずに見守ります。
本当に危ないことはもちろん回避するけれど、ちょっとしたケガで済むくらいの冒険はどんどんさせる。
子ども自身の身体で体験させることで、感覚や感性を養っていくのです。
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そんな風にのびのびと育ったエコビレッジの子どもたちは、まず色々な人が出入りする環境に慣れているので、人見知りを全くしないです。
そして、自分のやりたいことや意思をはっきりと持ち、それを周囲にまっすぐに伝えます。すごく主体的で堂々としているのです。
親に用意してもらった温室で育ち、主体性の乏しかった自分の子ども時代を鑑みると、いわば野生の、生きる力をぐんぐん伸ばしてたくましく育つ子どもたちはとても立派に映り、これからどんな大人になっていくのだろうとわくわくします。
昭和の長屋暮らしのように、コミュニティ全体で子どもを育てる
一方で、エコビレッジに住む親は、日頃から子育てをコミュニティのメンバーに助けてもらっています。
特に、多世代のエコビレッジの場合、おじいちゃん・おばあちゃん世代が子どもの面倒を見ることができます。
これは親の負担が軽くなるだけではなく、シニアにとっても、コミュニティの中で自分の果たす役割があり、貢献している意識を持てることは生きがいにつながります。
親だけでなくコミュニティ全体で子どもを育てる。
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核家族化に伴うワンオペ育児問題から脱却する選択肢として、そんな昭和の長屋暮らしのような子育てのあり方があっても良いのではないかと思うのです。
エコビレッジという次世代の社会モデル
私がエコビレッジを大学で研究しようと思ったきっかけの一つは、この子育てにあります。
大学3年の頃、比教社の大先輩である中野円佳さんの『育休世代のジレンマ』を読みました。
キャリアと育児の両立に苦しむ女性たちの問題に触れたとき、そもそも夫婦2人だけでケア責任を抱えなければならない核家族化の極まれる現代社会の構造に問題を感じ、
それまでエコビレッジを訪れて目にしてきた、地域コミュニティに頼りながら子育てできる環境が理想ではないかと感じたのです。
住むところをシェアすれば、都心の狭くて高い家の住宅ローンのために長時間労働をする必要はなくなる。
育児を一家族で抱え込んで、夫も妻も共働きも専業主婦もしんどくなるのではなく、コミュニティで支え合い、子育ては地域で一緒に行う。
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そんな社会モデルが、今の日本社会が抱える問題の解決の一端につながるのではないか。そう強く感じたことが、エコビレッジへの個人的な興味を超えて、社会学的に研究しようと決意したきっかけとなりました。
その思いは、今でもずっと変わらずに持ち続けています。
子育てだけでなく、介護など様々な「ケア」をシェアし、お互いに助け合い他者とつながりながら過ごすコミュニティでの暮らし。
環境負荷の低い循環型の暮らしを実践しつつ、エコビレッジがコミュニティのハブとなって地域社会を活性化させ、若者が地域に入っていくことで、都会に集まりすぎたヒト・モノ・カネが地域に戻っていく。
こうした動きが、つながりの希薄化による孤独・孤立をはじめ、都市の過密化と地方の過疎化によって生じている日本社会の様々な課題を解消しうる大きな手段ではないかと感じています。
その拡大を後押しするために、このnoteも含めて、エコビレッジの探求と発信の活動に取り組んでいきます。
おわりに
今回は私の個人的な話や、将来こんな環境で子育てしたいなという思いも織り交ぜながら、書いてみました。
何かしら、読んでくださった方の心に届けば嬉しいです!
最後にお知らせです。
先日、mixi2をはじめました。「エコビレッジ&農業やろう」というコミュニティに約350人も参加している様子に、エコビレッジの認知度や期待値が上がってきているのを感じてわくわくしています。
早速ご縁が広がって、オンラインでお話したり、mixi2を通じて知ったエコビレッジに訪問することもできました。mixi2のおかげで生まれた新たなつながりに感謝です!
主にエコビレッジに関して、noteよりも日常的にゆるりとつぶやいているので、よかったらフォローしてみてください!
最後まで読んでくださりありがとうございました!
感想や、「こんな記事読みたい」「こんなテーマで書いてほしい」というリクエストもぜひコメントしてもらえると嬉しいです!