私がおっさんになっても
男には避けては通れない道がある。
そう、おっさん化の道である。
おっさんは背後に潜んでいる。
そろりそろりと近づいてきて
気が付いたらおっさんと同化。
デリカシーは無くなるし
見た目は気にしなくなるし
クシャミの後は「アーちくしょう!」
どこに出しても恥ずかしくない(恥ずかしい)
まごうことなきニッポンのおっさんの爆誕である。
私もいずれおっさんになってしまうのか。
いや、もしかしたらもうおっさんなのか。
実は、おっさん化は自分ではわからない。
なぜならおっさんは自分を若者と見てる。
「年はとったけど俺ってまだ若いよね」と
信じてやまないのがおっさんなのだから。
つまり、おっさん化は客観的な意見がないと
どの程度進行しているのかが分からない。
そこでパートナーの意見が大事になってくる。
おっさん化を食い止めるカギはパートナー。
会話もできないほど冷え込んでいたらアウト。
もう身も心もおっさんになるのは既定路線だ。
そんなわけでおっさん化をチェックすべく
ウチの愛してやまない嫁に聞いてみた。
「ねえ、ぼくはおっさんか?」
「・・・いきなりどうしたんだ」
「いやほら、おっさん化してるかなって」
「おっさん化・・・?」
「男はね、おっさんになると変わるんだよ」
「たとえば?」
「無性にダジャレを言いたくなるとか」
「ああ、夫くん、よくダジャレ言うよね」
「申し訳ない」
「すっごいつまんないダジャレ、言うよね」
「まことに申し訳ない」
「ああ、でもそういうことね」
「そうそう。なんか劣化するというか」
「おっさん化って、声がデカくなるとか?」
「そうそう。・・・え、ぼくも声デカい?」
「夫くんはまだ大丈夫かな」
「よかった。他にはある?おっさん化の特徴」
「えー、なんだろう」
「じゃあさ」
「うん?」
「“ぼくがこんなおっさんになったら嫌だな”
っていうのは何かある?」
「あー、そういうやつね」
「うんうん」
「完全にルーティーン化したら嫌かなぁ」
「完全にルーティーン化?」
「なんていうか、決まったことしかやらない男」
「ああ、ガンコになっちゃう、みたいな?」
「そうそう。俺は料理しない!それは君の仕事!
とか決めちゃって、何一つやろうとしないとか」
「あー、なるほどね」
「まあ、夫くんはまだ大丈夫だけど」
「気を付けます」
「んじゃあ“こうなったおっさんは無理!”
っていうのはなにかある?」
「つまり最悪のおっさん化は何かってこと?」
「そうそう。最悪のおっさんは何?」
「うーん、ハゲとデブ?」
「・・・」
「あ、あとクサイのも嫌かな」
「ストレートすぎる」
「まあ、見た目に気を遣うって大事よね」
「おっしゃる通りです」
「夫くんはまだ大丈夫だから」
「ありがとうございます」
「でもシミ対策に日焼け止めくらいは塗ってね」
「かしこまりました」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
いやあ、いざパートナーに聞いてみると
予想以上の情報が聞けて面白かった。
会話を通して確実に分かったことは
『最悪なおっさんになるのだけは食い止めよう』
ゆめゆめ忘れないようにしよう。