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幸せのベクトル(12月17日)

眠い。起きた瞬間に昨日の疲れがまだ残っているのがもうわかった。携帯の画面をつけ、時計を見る。まだ9時。早い。仕事の日でも9時半起床なのに。普段ならあと3時間は寝ているであろうところだったが昨日一日一緒だった高校の先輩が部屋に泊まっていたので半分仕方なしに起きることにした。昨日はディズニーを早々に切り上げ、帰ってきてから家の近くの居酒屋で少しお酒を飲んだ。そのおかげで一瞬で眠りにつくことができたが、その分朝が少し気だるかった。

いつもより早起き。こんな時の僕の楽しみは朝マックに行くこと。僕にとって朝マックは早起きできた時だけの小さな幸せなのだ。あの、まだ誰とも会話していない喉の開ききっていない状態、体は起きているけれど頭はまだ夢の中みたいな状態で無心でかぶりつくマフィンがたまらなく美味しい。食べ物がひとつひとつ喉を通るたびに体が少しずつ1日の準備を進めている感じがする。普通の時のマックより朝マックの方が断然好きなのに、営業時間が6時から10時半までなので、まあ朝が弱い僕はなかなか機会に恵まれない。

マックまでの距離は1キロ弱。この遠くもなく近くもないそんな絶妙な距離感も気に入っている。ラジオを聴いたり音楽を聴いたり、あえて何も聞かず歩いてみたり今日はどうしようか、そんなちょっとした妄想が楽しくできる距離感。今日は一緒に歩く人がいるので会話をしながらまた違った味わいを楽しめる。昨日は12月で気温が20℃もあったのが嘘みたいに今朝はぐっと冷え込んでいた。夏は日向なんて歩こうものなら死活問題だったのに、気づけばすっかり日向が恋しい季節に切り替わってしまった。

東京は東京でも台東区の朝マックは下町感があってまたおもしろい。夜来ると若い子や学生、仕事帰りのおじさんなどが目立つ景色も朝はガラッと客層が変わる。アメリカンなマクドナルドから一番遠い存在であろう無造作な髭を蓄えたお爺さんが新聞を広げて1杯のコーヒーをじっくり飲んでいる。この人たちの口からマクドナルドという横文字が発せられることでさえ僕は想像するのが難しいくらいだ。

そんなお爺さんたちに混じりながら、ソーセージマフィンのセットにもうひとつソーセージマフィンを追加で。いつもこのセットだ。いつものマックならドリンクはコーラだけど朝イチから炭酸はキツいのでQooの白ブドウでいただく。無論コーヒーは苦くてまだ何が美味しいのかさっぱりわからない。昼に向かって徐々に日差しが強くなっていくのを窓の外に感じながら、朝から気の済むまで喋り尽くした。すっかりの周りのお客さんも入れ代わりそのトレーの上には見慣れたフライドポテトがのっている。もうお昼の時間になってしまった。昨日のディズニーのような怒涛の1日も好きだけれど、こういうなんでもない時間で十分な気もする。

マックを最後に先輩と別れたあと家に帰って足りなかった分の睡眠を取り戻すべく、当たり前のようにもう一度昼寝した。

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