西洋meets東洋 映画『お坊さまと鉄砲』
幸せの国ブータンで、国民に愛された王様が退位。
民主化を進めるために初めて選挙が行われることになった!
民主主義とは何か?
選挙はどうやって行うのか?
投票とは何を選ぶことなのか?
それを国民に理解させるべく、政府主導で模擬選挙が行われることになる。
この一世一代の大変革を前に、平和な村に住むラマ(高僧)は
「世を正さなくてはならぬ」
と弟子の若い僧に銃を2丁手に入れてくるよう指示する。
そこにアメリカから銃マニアがやってきて、、、、
若い僧に託された銃を、何としてでも手に入れたい銃マニアのアメリカ人は、あの手この手で、金を積んで手に入れようとする。
代わりのもっと良い銃を提供するから、その銃を譲ってくれと危ない橋も渡る。
しかし、托鉢を受けて暮らすブータンの僧にとって、貨幣は必ずしも至高の価値を持つものではなく、金を積めば欲しいものは手に入るはずという西洋の論理が通用しない。
そこに、銃の密輸の嫌疑でブータン警察も動き出す。
国民みなが国王を敬愛し、国民の幸福を第一に願う国王がいた国で、多数決でものを決める民主主義は理想的な統治制度なのか?
数を頼んで、自分たちの利害を優先しようとする輩の跋扈を招くだけではないのか?
そして、なによりそのやり方は、仏の教えに沿うものなのか?
伝統や祈り、平和と調和を大事にしてきた国民にとって民主主義は必要なのか?
仏教を拠り所に、村で平穏な暮らしを営む村人たち。
美しい自然の中で、ブータンの人々が経験する初めての選挙は、ブータン社会をどう変えていくのか?
民主主義、選挙、近代化。
西洋から持ち込まれる進んでいるとされる制度は、東洋の寄って立って来た価値感に馴染むのだろうか。
西洋的価値観が東洋と出会う時、銃マニアのアメリカ人も戸惑うが、受け入れる東洋でも、丸い穴に四角い棒を通すような齟齬が生まれる。
そして、最後にラマがなぜ国家の大変革期に銃を必要としたのかが明かされる。
そこで銃マニアのアメリカ人も、ラマの意向に従わざるを得ないシチュエーションに置かれてしまう。
その平和的解決を、ぜひ味わっていただきたいと思う。