なぜ日本酒はヨーロッパで売れないのか(勝手な分析)①
仮説 : ヨーロッパは食に対してちょっぴり保守的(アジアが貪欲すぎ?)
東京、ソウル、台北、香港、バンコク、クアラルンプール…アジアの都市を思い浮かべると、朝晩問わず気軽に外食ができ、本物志向のイタリアンやフレンチのレストランがあるだけでなく、カフェやスーパーでも異国の料理に触れる機会が多いし、コンビニには弁当やお菓子が並び、話題のスイーツ屋には列ができる。
一方で、パリ、アムステルダム、ローマ、マドリッド…ヨーロッパの都市を思い浮かべると、ランチはランチの時間を逃すとレストランは閉まるし、そうなるとサンドイッチに700円くらい払わなければ食事にありつけないし、本気のレストランに行かない限り異文化の料理は食べられないし、コンビニみたいな商店は少なくて、あったとしてもポテトチップスとまずいパンが買えるくらい、食の流行はあるけど、新手のB級グルメや奇抜なスイーツに行列ができるようなことはあまりない。
ヨーロッパでは、アジアほど外食が気軽じゃない。そして、異文化の食を取り込もうという傾向も弱い。
日本ならば「タイに興味はないけれどランチで入ったカフェでガパオライスは食べたことある」という人がいたとしても、ヨーロッパだと「日本に興味がないけれどランチで入ったカフェでオニギリは食べたことがある」ということが起こりにくい。
ローマとマドリッドで何軒か日本酒を売りにしている和食屋に入ったが、客は相当な日本好きや、既にリピーターになっている常連か、といったところだった。そのような店でも、和食を食べながら自国のビールやワインを飲んでいる人も少なくない。(日本でも地中海料理屋でパエリアとピザを頼んでスーパードライを飲む人も少なくないだろうが)
というわけで、ヨーロッパで日本酒を飲める場所(主には正統派の和食レストラン)に来る人とは、
「貴重な外食の機会に比較的高い金額を払ってでも和食を食べたい人」
で、その中でも日本酒を飲む人とは、
「和食という異質なものを食べながら日本酒という異質なものを飲む」
ほど日本が好きな人やグルメで冒険心のある人。
なので、イタリアのワインが日本で飲まれているの同じようにイタリアで日本酒が飲まれるようになるのは今の時点では難しいし、文化が違うのでそうなる必要性もないのではないかと思う。以前に日本に来たスペインの友達が「日本人はみんな何かしらのオタクだね」と言っていた。たしかに、日本は趣味の店が多くて、何かにこだわりを持っている人が多いように感じるし、異文化のものを開拓して自国に持ってくる意欲が強いように思う。
まずは、ヨーロッパの“相当な日本好き”や“日本酒のファン”という限られた人たちに楽しんでもらえるように日本酒を売っていかないといけないだろう。しかし、今はまだヨーロッパでは飲める日本酒の銘柄は限られているのが現状だ。
勝手な分析①:
ヨーロッパでは日本や他のアジアの国々と比べて、異文化の料理を外食で楽しむ機会が限られており、気軽に和食や日本酒に触れることが難しい。