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衝動買いの影に潜んでいた貧困妄想

こんにちは! うつ歴11年の経験から、生きづらい社会のなかで心が楽になる考え方をお届けしているつくだ@書籍編集&作家です。

「うつ抜けできるかな日記」を再開いたします。ずいぶん間隔が空いてしまったので、まずはおさらいからどうぞ。

一分間でわかる「うつ抜けできるかな日記」

フリーランスでの成功から一転、突然の仕事喪失。再起への道は遠く、孤独と過労が心を蝕みます。そして2015年に自宅での映画鑑賞中、突然の号泣。それは、うつ病という深い闇への転落の始まりだったのです。

保健所、メンタルクリニック…抗うつ剤の副作用、そして襲い来る自死願望。出口の見えないトンネルの中、わずかな光となったのは、読書と音楽、そして友人たちの温かい励ましと障害年金でした。

症状は容赦なく襲い掛かり、心を打ち砕きます。それでも、私は諦めません。もがき続け、うつ克服の道を探しています。いつか「うつ抜けできる日」を目指して今日も一歩ずつ前に進んでいきます。

うつ発症からほぼ3年が過ぎました。効果を期待していたNaSSAも私にはあまり効果がないようで、もうひとつ飲んでいた抗うつ剤を新しいものに差し替えることになりました。

もちろん差し替えるといっても、身体の中から薬を抜かなければ新しい薬は使えません。そこでまた減薬が開始されました。その一方で、過眠と自死願望は収まる様子をみせず、苦しさに歯を食いしばる毎日でした。

本を買うのが止まらない!

そんなとき薬ではなんともできない苦しみから私を救ってくれたのは、買い物でした。うつ病になると意欲も低下して、お金も使わなくなくなるだろうと思われがちですが、私の場合は逆でした。

もちろん、うつ病ですから人生のほとんどのことには意欲がなくなります。しかし、ある種のことにかけては異常とも思えるほどに熱中して、それで体力を使いつくしまた寝込んでしまう。そんな毎日でした。

私がそれほどに熱中したのは本集めでした。休んでいる時間をなんとか有効に活かさないとと思ったんでしょうね。はじめに集め始めたのは、夏目漱石の文庫版。そこから永井荷風や谷崎潤一郎ヘと移っていって、ちくま文庫の日本文学全集も集めました。中央公論社の「世界の名著」シリーズを集め始めたのもこの頃です。

私は都内のブックオフを回って、1冊100円や200円で売っているものを探して買いました。ブックオフも古書店ですから、行ってみると思いがけない出会いがあるんです。するとそれも手に入れて、帰りにはリュックにぎっしり本を詰め込んで戻ってくるといった具合でした。

躁への始まり?

するとどんどん本代が増えていって、2万、3万と古本を買うようになりました。さすがにこれはおかしいと思いはじめました。

本で調べてみると躁転と呼ばれる状態があって、うつ状態からある時点をきっかけに躁状態になることがあるそうなんですね。うつでも躁状態になるそうですが、そこから転じて双極性障害になり始めているのではないかと不安になったのです。

うつも大変な病気ですが、双極性障害も大変な病気であると聞いています。これは大変なことになったと、次の診察で主治医の先生に相談しました。

「先生、実は最近買い物が止まらないんですが、これってもしかして躁転ではないでしょうか」
 いつもはにこやかな先生が、少し真剣な顔になりました。

「お金を使うって、どれくらい?」
「たぶん4~5万はいっていると思います」
「それで気持ちが高揚したりっていうのはある?」
「本を見つけたり買ったときは楽しいですが、あとはいつもと同じです。頭が締め付けられるように痛んで、起きていられないほど身体がだるくて、日々、死にたいと感じます」

「じゃあ、双極性障害ではないですね。躁状態になると、たいていはものすごく気分が高揚して元気になります。でも、つくださんはそういうわけではないんでしょう?」
「ただ、お金がなくなっていくのが怖くて」
「節約は大事ですが、いまは病気を治すことを考えましょう。お金はなくなっても、生活保護があります。だから心配しないでだいじょうぶ」
 先生はまた笑顔に戻ってそう答えてくれました。

「死なないこと」を守って生きる

確かに最悪の場合、貯金がゼロになったとしても生活保護という手があります。節約は心がけるけれども、まずは「死なない」ということを大前提に、そのために何ができるかを考えるようになりました。

すると、病状はいままで通りではあるものの、衝動買いについてはかなり押さえられるようになりました。

ところで、うつ病のひとが抱える三大妄想というものがあります。私の場合は、貧困妄想に陥っていたのでしょう。

1 貧困妄想:実際には十分な資産や収入があるにも関わらず、経済的に破綻する、貧困に陥るといった強い不安や妄想を抱くこと。
2 罪業妄想:過去に犯した些細な過ちや、実際には存在しない罪を過大に評価し、強い罪悪感や自責の念に苛まれること。
3 心気妄想:身体のちょっとした不調や変化を、深刻な病気の兆候だと捉え、強い不安や恐怖を抱くこと

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まとめ

うつ病といってもずっとネガティブであるとは限りません。ときには私が衝動買いに走ったように、アクティブ、もっと言ってしまえばハイパーアクティブになってしまうことがあります(とはいうものの、うつなのか双極性障害かの判断は非常に難しいので、おかしいと思ったときは専門医への相談をお勧めします)。

そして、いつも自死願望に苦しめられている私が言っても説得力ないですが、決して死なないこと。それは「死ぬことがいけないことである」とか、「まわりの人を悲しませるから」といった理由ではありません。

今日一日、あるいは一時間、10分でも、3分でも生きてみる。すると状況が変わり、少しは生きやすくなるかもしれないからです。私は死にたい気持ちになるたび、そのことを思い出して精神安定剤を飲んだり、深呼吸をしてみたり、好きな音楽を聴いてみたりして、なんとか生きるようにしています。

人生は、いつからでも、何度でも新しくはじめることができます。そして、どんな状況からであっても、人は必ず這い上がって「その人なりの幸せ」をつかむことができると私は信じています。

うつと闘っている皆さんを、同じ同志として尊敬し、応援しています。

また近々、「うつ抜けできるかな日記」を更新しようと思っていますので、よかったらまた読みにきてくださいね。

死にたい気持ちのときの相談窓口です

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「はじめまして」の皆様も、
「いつも読みに来てくださる」皆様も、
こんなにも長い記事を、最後まで読んでくださりありがとうございます。

皆さんのスキやフォローにいつも励まされています。
本当にありがとうございます!

皆様にとって、「誰もが心の疲れを癒やし、そして再出発に向けて力を蓄えるための場所」と、このnoteがなりますようにこれからも尽力していきます。どうぞよろしくお願いいたします。

あなたにとって、穏やかで幸せな1日になりますように!

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つくだとしお|書籍編集者×作家
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