次はもっと大きいかもしれない: 豊後水道地震後の南海トラフ巨大地震への事前準備
令和 6 年 4 月 17 日 23:14 豊後水道を震源とする地震が発生しました。
この地震は四国や九州の沖合で陸側のプレートの下に海側のフィリピン海プレートが沈み込んでいて、今回はフィリピン海側のプレートの内部で起きた地震です。
震源の深さが3Kmとやや深い場所だったため、津波による被害は発生しなかった一方で、愛媛県や高知県で震度6弱、大分県で震度5弱を観測する等、広い範囲で強い揺れが観測されたのが今回の地震の特徴となります。
今回の豊後水道地震はプレート境界よりも深い場所にある「正断層」と呼ばれる断層で発生しており、プレートの境界線で発生する南海トラフ巨大地震とは関係ないと専門家は見ています。
しかし、地震が南海トラフの想定震源域の中で発生していることから、南海トラフ巨大地震との関連性が全くないとは言えないと考える専門家もいます。
今回は迫り来る南海トラフ巨大地震への事前準備は何をすれば良いのかお話しします。
1.南海トラフ巨大地震とは
南海トラフ地震は、静岡県沖の駿河湾から九州沖の日向灘沖にかけての陸側プレートの下にフィリピン海プレートが沈み込む境界を震源域とする海溝型地震です。
南海トラフ巨大地震の想定震源は、駿河湾から和歌山県沖にかけての東側(東海地震)と、和歌山県沖から宮崎県沖の日向灘にかけての西側(南海地震)に区分されています。
過去の記録では約100年から150年の周期で大規模地震が発生しています。
1707年の宝永地震のように駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生したり、1944年の昭和東南海地震・1946年の昭和南海地震が約2年間の間隔を置いて発生した事例もあり、時差で巨大地震が発生する可能性もあります。
出所:内閣府 防災情報
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/rinji/index4.html
2.南海トラフ巨大地震の情報発表までの流れ
南海トラフ巨大地震の情報発表のステップは次の通りです。
Step1.次の事象を観測した場合、気象庁が「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表
1.南海トラフの想定震源域またはその周辺でM(マグニチュード)6.8以上の地震が発生
または
2.南海トラフの想定震源域のプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべりが発生した可能性
Step2.有識者からなる「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」で検討
Step3.最短約2時間後に以下の評価発表
1.「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」
想定震源域内のプレート境界でM8.0以上の地震が発生と評価
2.「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」
監視領域内で、M7.0以上の地震が発生したと評価
想定震源域内のプレート境界面で、通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合
3.「南海トラフ地震臨時情報(調査終了)」
いずれにも該当しない場合
出所:内閣府 防災情報
https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/rinji/index4.html
3.南海トラフ巨大地震への事前の備え
南海トラフ巨大地震の影響が想定されるエリアでは事前の備えが大切です。
南海トラフ巨大地震がご自身のエリアにどの程度の影響を及ぼす可能性があるかを調査します。
(1)地震や地盤情報の収集
あなたの住所から地震や地盤の情報を調べる方法をご紹介します。
1.J-SHIPSの活用
国立研究開発法人・防災科学技術研究所より無料で使用できるJ-SHIPSというオンラインツールで手軽に地震リスクを確認できます。
https://www.j-shis.bosai.go.jp/map/
2.南海トラフ巨大地震の影響エリアの確認
「震源断層」ボックス内の「海溝型地震震源断層」チェックボックスをオンにすると、海溝型地震震源断層の領域(黄色)が表示されますので、南海トラフをクリックすることで評価を確認できます。
3.住所から地震による影響を調べる方法
サイドメニューの「場所を検索」に住所を記入し、「確率論的地震動予測地図」を選択すると
当該住所での地震動予測が表示されます。この図では右上のボックスで「30年震度6弱以上の揺れに見舞われる確率の分布図」が表示されています。
大分市の場合、濃い赤なので、右下より確率の凡例から26%以上の確率で、30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われることが確認できます。
(2)地震の影響がある場合の事前準備
1.ご自宅での事前準備
・避難場所・避難経路の確認
・家族との安否確認手段の確認
・非常持ち出し品の確認(非常用持ち出し袋の準備/水や食料の備蓄など)
・家具の固定や建物の耐震化、感電ブレーカーの設置、けがの防止対策など
2.企業での事前準備
・リスク評価:J-SHIPSなどを活用して企業が直面する具体的な地震の影響を評価
・BCP(事業継続計画)の策定
・事前対策(オフィス家具類の転倒・落下・移動防止対策、備蓄品の準備)
・災害時の補助金リストの確認 など
南海トラフ巨大地震の発生の可能性言われる中、災害からの企業の早期復旧には事前のBCP対策が有効です。
執筆者:永見拓也
BCPコンサルタント・公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員リスクコンサル会社にて製造業、運送業のBCP/BCM策定コンサルティング業務に従事。
現在、大手損害保険会社にて事業継続力強化計画やBCP策定支援等のリスクマネジメント推進業務を担当。
企業の為の事前準備、BCP対策には「CloudBCP」安否確認機能も
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・本記事はCloudBCPブログの転載です。