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[エッセイ]家族との複雑な関係と心情。私の内なる「鬼」を解放し、祖母を許すまで−−山岸凉子『鬼』を読んで

私の青春時代は、内なる葛藤とともに過ぎていきました。

高校生の頃、祖母が祖父とともに我が家を離れたとき、私の心に深い動揺が走りました。それは、まるで私が「捨てられた」と感じた瞬間でした。

当時の私は思春期の感情が混ざり合い、祖父母に対して疎ましい感情を抱いていました。彼らの存在が、私の世界から徐々に遠ざかるように感じられ、心の中に強い怒りと失望が根付いていったのです。

祖母は私が生まれる前に失明していました。そして、その孤独な生活は、彼女の内面に深い影を落としていたことは想像に難くありません。祖父も遊び人で、祖母は多くの嫌な経験をしていたことも知っていました。
祖父の認知症が進む中で、祖母が自分の娘の家に引っ越す決断を下した背景には、数々の苦悩と選択の葛藤があったことでしょう。

しかし、もろもろを知っていても当時の私は、その選択を許せなかったのです。また、その感情の中には、諦めもありました。

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