『三千円の使いかた』月1読書感想文 3月
『三千円の使いかた』 原田ひ香 2018年中央公論新社
既に読んだ人も多いとは思うが、かなり話題になった本。
ちょっと出遅れて図書館に予約を入れたら、待つ事2年!更にまだ後ろに200人程の利用者が待っているという凄さ。
それもこれも、『人は三千円の使い方で、人生が決まるのよ』と本文にもある通り、貯金や節約、お金の使い方等、普段の自分の生活と重なる内容に読む前から期待が膨らむ。
貯金に目覚めた社会人2年目の美帆。
3歳児の子育て中の姉は、夫の少ない稼ぎの中で上手にやり繰りをし、将来に備えている。
体調不良をキッカケに熟年離婚が頭を過ぎる母。
老後の資金の足しのためにパートを始めるが、労働の楽しさと自分が必要とされる満足を得る祖母。
どれもが、多かれ少なかれ自分が経験した事がある、これから経験しそうな内容に「ああ、分かる〜」とページを捲る手もスムーズになる。
特に姉の真帆が、慎ましくとも自分の結婚生活や毎日は充実して幸せだと満足していた筈が、友人のセレブ婚約を目の当たりにして『自分はショボいのかも』と揺らいでしまう箇所などは、きっと誰でも経験があるだろう。
あの『隣の芝生は青い』というヤツだ。
自分はコレで良い、と思っていたのなら、それを貫けば良いのは分かっていても、ちょっとグラグラしちゃうのは仕方ない。
だって、人間だもの。笑
作中に登場する、節約アドバイザー黒船スーコが唱える『8×12は魔法の数字』
具体的には、毎月8万の貯蓄+ボーナスに2万ずつで年間100万円貯めるというもの。
その為に、どこをどう節約し貯めて行くかの説明が続く。
これは分かりやすくて良い、と思う。
100万円という分かりやすいゴールがあるのは、モチベーションを保ちやすいと思う。
真帆が家計簿に『目指せ!貯金一千万!』と書き込んでいるのも、同じ効果が期待できる。
ハッキリとした目標を決めておくと、それに向かってダッシュしやすい。
物語としても面白いが、貯蓄や節約のアイディアや、自分自身の日頃の行ない(!)を振り返る事も出来る。
で、実際に自分の三千円の使い方を考えてみた。
…うん?何も思いつかない。
急いで欲しい物もやらなきゃいけない事も、ない。
強いて言えば、カフェに行っていつもは尻込みするフードを好きに注文してみる。
優雅なひとときを堪能できそう。
今、手元に使える三千円があったら…
結局使わずに、そのまま新NISAの口座に入れてしまいそう。
多分、これが1番やりそう。
つまらないヤツ!なんて笑われそうだが、前出の真帆のように、目標の数字を決めてジリジリと増えて行く数字を眺めてニヤニヤする性分なので、仕方がない。
因みに主人にも聞いてみた。
「国産の鰻を食べる!」との事だった。
夫婦共に最後は食に走る、という事だけは分かった。
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