2冊の本に背中を押され、アメリカの本屋を巡る旅に出る
7月5日から10日間、少し早めの夏休みということで有給休暇をとり、アメリカへ旅行に出かける。
この円安の中、そんな暴挙に出ていいものかと迷ったけれど、人生は一度きり。
行ける時に行っておこうと、清水の舞台から飛び降りるような思いで決行することにした。
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旅程は、ニューヨーク→シカゴ→シアトル→ロサンゼルス。
移動に時間がかかるので、バタバタの駆け足旅行になる。
ニューヨークでは現地在住の友人宅へ3泊、ロサンゼルスでは昔お世話になった方のお宅へ1泊させていただくので、大変ありがたい。
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今回の旅の主な目的は、かねてからの夢だった、あちらの書店を巡ることだ。
その夢を育んでくれた2冊の本がある。
「世界の本好きたちが教えてくれた人生を変えた本と本屋さん」
(ジェーン・マウント著、清水玲奈訳、エクスナレッジ)
2019年3月にうつ病を発症後、同年7月頃に苦しくてたまらない中で読んだ本。
当時はほとんど本が読める状態ではなかったけれど、この本ならつらい状況からしばし現実逃避できるかもと、少しずつ読み進めた。
世界中の本、作家、書店、図書館が、実に素敵な文章とイラストで紹介されていて、ゆっくりページをめくりながら、少しずつ心がほぐれていく。
だが、それと同時に、絶望と劣等感に苛まれもした。
こんな病気になってしまった私は、この先もう海外へ行くことなんてできないし、楽しいことなんて何もないのだと思い、悲しくて仕方がなかった。
そして、この本の翻訳者さんへの強い羨望と嫉妬にとらわれた。
巻末の訳者紹介文によると、海外在住歴が長く、書店巡りをライフワークとし、数多くの著作がある方らしい。
うらやましくて、胸に鉛が詰まったような重苦しさを感じた。
人と自分を比べて、自分はダメ人間と極端に思いこむという、うつ特有の認知の歪みが生じていたのだった。
その後、うつが回復し、思考が正常に戻るにつれて、訳者さんへの羨望は消え、平常心でこの本を何度も開いて楽しめるようになった。
そもそも私にそんな働き方ができるわけがない。身のほどを知りなさいと今では思う(笑)
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もう1冊はこちら。
「Footnotes from the World’s Greatest Bookstores: True Tales and Lost Moments from Book Buyers, Booksellers, and Booklovers」
(Bob Eckstein, Garrison Keillor著, Clarkson Potter社)
日本語訳も出ている。
各書店を写真ではなく、イラストで表現しているからこその良さにあふれた本。それぞれどんなお店なのか、想像を膨らませた。
アメリカ、インド、日本、アルゼンチン、中国、フランス、スロバキア、イギリス、アイスランド、ドイツ、ポルトガル、ルーマニア、カナダ、スコットランド、イタリアのユニークな独立系書店が紹介されている。
ちなみに日本は神田・神保町の書店街が登場する。なんだかうれしい。
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この2冊を時おりパラパラとめくり、海外の書店や図書館への憧れを募らせてきた。
海外旅行は12年ぶりだ。干支が一周回ってしまった。光陰矢の如し。
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今回は抗うつ薬と睡眠導入剤を持参するわけだが、入国審査で薬をチェックされるということをまったく考えていなかった。
フォロワー様の記事を読んで、主治医の診断書と処方箋、その英訳が必要と知り、あわてて用意した。
主治医に依頼したところ、「あ~、売買目的を疑われるんですよね~」とのこと。
まあ、そうなんだろうけれども。
私、そんなワルなことしないですけどね・・・。
入国審査官に眼光鋭く詰められたらどうしようと、今からドキドキしている。
「これがないと生活できないのに、売るわけないでしょう!」と強気に出たいところだが、英語はろくに話せない。
アワアワしながら診断書を指さして、「ヒアー、ヒアー!(ここに書いてあるヨー!)」とか叫んだりして、嫌な顔をされそうである(笑)
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行きたい本屋は大体リストアップした。時間があれば図書館も訪れたい。
果たしてちゃんと各目的地にたどり着けるのか。
バカ高い物価の中で、まともに食事ができるだろうか。
そして何よりも、無事に帰ってこられるのか。
不安もあるけれど、40代最後の1年となったこの夏、念願の旅に出かけてきます。
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