Louvre美術館の別館Louvre-Lensを訪れる
LilleとRoubaixでの鑑賞の後、1日休肝日ならぬ休鑑日を設けて、Louvre-Lensを訪れた。名前からも察しが付く通り、かの有名なパリのLouvre美術館の別館である。
パリへは行っても、Lensへはなかなか行く機会がないと思うので、こちらについても、常設展とフェルメールのレース編みの女についてお届けしたいと思う(特別展は龍やら火の鳥やら子供向けで興味が抱けなった)。
※Louvre-Lensについて
それでは写真へ移ろう。
※外の展示と外観
※常設展
絵画や彫刻から、壺やミイラの棺まで、実に様々なものが展示されているが、決して規律正しく配置されているわけではないので、「あらまぁ、こんなところにこんなものが」という発見があり、個人的には珍しい展示方法だな、という印象を受けた。
とはいえ、さすがはLouvreだけあって、照明の当て方が絶妙で秀逸なのが特筆すべき点だ。
美術館巡りが趣味の方には確実に共感いただけると思うが、「この絵画、凄く気に入ったから写真に残しておこう」と思って撮っても、照明が絵画の要部分に当たっていて、白浮きして、様々な角度から試してもうまく撮れない、とか、窓から差し込む陽光が直に当たる部分に作品が飾られているために、彩光と照明のバランスがうまく取れていない、という展示や美術館にこれまで数多く出くわしたことと思う。しかしここは、その辺のテクニックが素晴らしく、撮り直しをした作品はなかった。
-気に入った絵画-
【説明書きを意訳】
トロイアの戦士アエネーイスとその仲間のアスカニウス('仲間'とあるが、Wikipedia「アエネーイス」について調べると、'息子'らしい)は、森から出てきた若い女性に出会う。それはアエネーイスの母親で、ヴィーナスだ。彼女は彼の船が現在のチュニジアのカルタゴ港にあることを知らせ、矢の準備をする小さなキューピッドが、カルタゴの女王ディードーへのアエネーイスの将来の情熱を引き出している。
-エジプト関連(と余談)-
イタリアにもトリノに有名なエジプト博物館があるが、トリノへ行く度についついお屋敷見学や何かの特別展に目が向いてしまい、まだ行けていない。しかし石棺がこれほど美しいものだとは知らなかったので、今年こそは是非エジプト博物館へも行こうと思っている(行ったらNoteで紹介します)。
実は私には、大学2年に上がる前の専攻選択時に美術史と考古学の間で悩んだ過去がある。ただ、1年のうちに既に卒論のテーマを決めており(気が早すぎたが、結局はその主体が今でも私の好みの絵画に描かれていることが多いので、よく言えば、18、9歳の頃からある意味自分の嗜好をよく理解していた、反対に言えば、一切成長していない、のかもしれない)、それを書くには美術史か演劇を専攻しないと辻褄が合わなくなるので、美術史に進んだ。
当時は、吉村作治教授が教育学部で教鞭をとられており(一度、大教室の授業に潜ったこともある…笑)、私のいた一文にも素晴らしい文化人類学の教授が複数在籍されていた。炎天下の中での発掘など、太陽も暑さも大の苦手な私には完全に無理なのに、興味深い授業が多すぎて妙に考古学に惹かれてしまった自分がいた。
-装飾品-
-彫刻-
※特別展(フェルメールのレース編みの女)
「AU TEMPS DE LA DENTELLIÈRE」(訳: レース職人の時代)というタイトルで、フェルメールの作品のうち、レース編みをする女性たちにスポットを当てた展示が行われていた。
それでは展示内容へ。
黄色のショールを羽織った若い女性が左手に2つの糸巻きをもち、枕にレース編みをしている様子を描いた作品。
フェルメールの絵画としてはもっとも小さな作品だそうで、確かに、「La Gioconda(モナ・リザ)」を思わせる小ささだった。La Gioconda(イタリアではモナ・リザと呼ぶ人はいないと思うので、'La Gioconda'と表記させてもらう)は大昔パリで見たが、遠くから見てもすぐにそれだとわかる作品かと思いきや、ものすごく小さくて仰天した覚えがあり、当時の、サイズについての驚きを、この作品にも感じた。ただどちらも知名度のある見ごたえのある作品には違いない。
こういう細かさ、わかりやすさを展示に加えるあたり、さすがフランスの美術館だなぁ、と思う。別にフランスだけに肩入れするわけではないが、なかなか他のヨーロッパ諸国ではこのような、美術に然程傾倒のない人にもわかるような説明がされていることが少ないと、実際に自分の目で見ているからこそ言える現実がある。
このほかにも当時の各種刺繍や動画が見られる。小規模ながら充実した展示で、5月30日まで見学可能なので、パリのオリンピックが始まる前、つまり更なる値上げが始まる前にフランスを訪れる方は、是非足を運ばれるのが良いと思う。
ちなみにパリは既に、1月からcity taxが1€から5€台に値上がり、2月か3月には地下鉄のチケットも1回券が2.1€から4€に値上がりするそうだ(ミラノは1回券が2.5€なので、パリの方が安いのが不思議だから仕方ないのかもしれないが、それだって4€はないだろう)。だから私の友達や知り合いのフランス人たちは「私たち、暫くパリへは行かないわ」と言っていた😆
さて休憩しよう。
この日の昼ご飯がこの呟きのものだ。
パリでもフランの値段を見たが、意外と安く、3~5€だった。
ミラノでは逆に食べ慣れないものなので、売っていても高いかもしれない。
※おまけ(美術館としての特別展「ANIMAUX FANTASTIQUES」)
特別展「ANIMAUX FANTASTIQUES(訳: 幻の動物)」には、その内容に、全くと言っていいほど興味が抱けなかったので、その中で何点か、個人的な趣味としていいなと思った写真を載せておく。
※おまけ(私の本命のおまけ=映画の紹介)
最後に、私の大好きな女優のIsabelle Huppertが若い頃演じた「La Dentellière(1977年)」という映画があるので、紹介しておこう。
これはユペール様(私の中では彼女は「様」付きの存在感なのだ)のデビュー作ではないが、確か、主役を演じた最初の作品のはずである。私は数年前に全編を字幕共にフランス語で観たので(普段はイタリア語字幕で観るからフランス映画でも全て理解できる)、完全には理解できなかったが、当時からユペール様の眼差しの強さ、憂い、可憐さの中のエロスが垣間見れて、素敵な作品だな、という印象を受けた。
文字数的に、これまでにない大作になったので、是非「すき」も宜しくお願いします。可愛い動物がお礼に出てきます🤚