あべちゃん

ラジオが好きな、長岡ゼミ4年です!

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最近の記事

コマ切れされる時間

 リンダグラッドンのWORKSHIFTを読みました。この本は、これからの社会の状況や暮らす環境の変化を今までの歴史や現在起きている事象の分析から予測し、それらをもとにした現実性の伴った想像力で、未来の社会で生きる人の生活を描いています。変わりゆく社会に翻弄される人、柔軟に適応していく人、それぞれの物語を読むことで、読者は未来の暮らしを追体験し、創造することができる本です。 この本の物語に出てくる登場人物の中で、印象的だったのが2025年にロンドンに住むジルの暮らし・働き方で

    • 看守とおさらばしたい

       月に一度、私たち4年生は卒論ミーティングをします。長岡ゼミの卒論は、ゼミ生がそれぞれの越境活動をすることを通して、そこで出会った人との対話や出来事から生まれた等身大の気づきや問いをストーリーをエスノグラフィーとしてまとめていくものです。そのため越境活動先で起きたエピソードや、発見したこと、疑問に思っていることを指導教員である長岡先生とゼミ生で共有し、対話をしていく卒論ミーティングは、一ヶ月ごとに越境活動を振り返り、再び次の一ヶ月の活動へ飛び立っていくための、空港のような場で

      • 捨てないで、取っておく。[Footwork & Network vol.25]

         香川県にいたころ、地元の料理人の下で、塩つくりの釜で火をくべていたことがあります。木には、燃えやすい材質のものと、そうでないものがあって、燃えやすい材質の木は逞しく火が熾るけれど、灰になるのも早く、一方燃えにくい材質の木は燃えるのに時間がかかるけれど、一度火が付いたらパチパチと静かに音を立てながら長い間持続します。  ワーカホリックに、ひたすら仕事を頑張る。そんな人を見ると、一度消えた火は戻らないのに、燃え尽きたりしないのかな。と思っていました。そんな考え方にすこし変化を起

        • 名刺交換はそのあとで

          4月19日、大手町の3×3 Lab Futureという場所で、日の沈むころに始まったイベントは、「十人十色のキャリア見聞録!!!」というテーマで、20代のゲスト3人が、これまでのキャリアを話すものでした。そんな中、いつもはあって、今回はなかったものがありました。名刺交換です。対話の時間に、司会の方が、「名刺交換はいったん後にしていただいて」と言ったのです。あとになってそれを司会の方に聞いたら、全部終わって、一緒にご飯を食べて、最後に実はこんなことしてる人だった。って分かるほう

          ニコニコ作戦と、もうひとつ。   [Footwork & Network vol.24]

           思わず話しかけたくなる人っていますか。茶目っ気があって、人懐っこくて、盛り上がったり、落ち込んだりを繰り返しながら、「人」に対する優しい想いで、前へ進んでいく。言葉を交わすうちに、自然と自分も笑顔になっている。私にとってのそんな人、小西政弘さんを紹介します。 小西政弘さんという人- 「みんな突然やけど今日の夜って何してる?」 2月24日、小西さんから有楽町にある SLIT PARK のイベントに一緒に行こうとお誘いをしてもらいました。学生と社会人が集まり、食べ物を片手に

          ニコニコ作戦と、もうひとつ。   [Footwork & Network vol.24]

          コワーキングスペースなのに

          1月の6日から9日に、南相馬に行ってきました。南相馬でまちづくりをしているMYSHという会社のインターンとして、初めて訪れたこのまちを歩き、商店街、交流センター、田んぼ、海、酒蔵を見ました。海岸のあたりは津波の影響で皮肉にも区画整備が進んだ広大な田んぼがあったり、使われない土地を有効活用するために黒いソーラーパネルが地面を覆っていたり、駅前のはずなのに人が戻らず売り物件、空き家になっているところを見たりと、いまだに痛々しい、震災の現状を垣間見ました。一方、少し移動するとむしろ

          コワーキングスペースなのに

          【Footwork & Network vol.23】 ”団欒” が語るもの

           「また行きたいな。」と思う場所ってありますか。私はたとえその場にいなくても、誰かの息遣いを感じたり、何か新しいことが起きる予感に満ちている場所に惹かれます。そんな場所をつくる香川県の料理人、浪越弘行さんを紹介します。 ふらっと現れた浪越弘行さん  7月5日。 投げ銭スタイルの不思議な食堂 "鬼丸食堂" のお手伝いで、香川県の三豊市に行った時のことです。初めての場所での開催だったので、店を開ける準備をしながら、お客さんは来てくれるのだろうか。という不安もあるなか、一番に来

          【Footwork & Network vol.23】 ”団欒” が語るもの

          地域づくりの通信簿

          避難訓練は、憂鬱だ。休みの日の午前中に、わざわざ行くのだ。けれど、それでも来ていた人は、「自分のため」を通り越していた。災害は命に関わる。だからこそ、自分よりも、誰かを守りたいと思う人が来ていた。防災マニュアルや制度も重要だけど、私は災害が起きたとき、隣に住むあの人や、車いすのあの人の顔が思い浮かぶかどうかが大切なのだと思う。避難訓練は憂鬱だ。もしもの時のために、集まる。考えたくはない。それでも行くのは、自分のためを超えたとき。あの人のことを守りたいと思った時だ。そんな関係性

          地域づくりの通信簿

          そのままを、そのままで

          素朴なものを、素朴なまま伝えたい。心が動いたモノゴトを、そのまま伝えることは、どうしてか、怖い。そこらじゅうに落ちていたどんぐりの中から、自分に拾われて、「このどんぐり」になった瞬間。このどうしようもない無意味さに、むしろ惹きつけられ、心に風が通ったような気がした。それを伝えたい。けれど、「それになんの意味があるの?」と言われる気がして、おそれて「ネタ」に変えた。素朴なものを伝えるためなのに、受け取ってもらいやすいように、大げさな意味をくっつけたことで、本来あった姿がゆがむ矛

          そのままを、そのままで

          ぽかぽかの賞味期限 最終章

          「まちをつくる。」この言葉はとても曖昧です。建物やコミュニティーを作ること、すべて当てはまります。なにがなんだか分からなくなることもありました。それでも、とにかく、自分とみんなの「ぽかぽか」をつくり、大切にしたいと思えるようになった経験を紹介します。 グラデーションネイティブ 海のそばで暮らし、表情を変える砂浜と、沈む夕日を見ていた浪越さんは毎日移り変わっていく時間を味わうことが体に染みついています。そんな浪越さんをグラデーションネイティブだと言う人がいました。日の沈む頃、

          ぽかぽかの賞味期限 最終章

          ぽかぽかの賞味期限 ④

           地域の大人がどんなふうに働いているかを見ることができたら、そこを訪れた人は、この地で働く自分自身の「暮らし方」のイメージもしやすいのではないでしょうか。カフェ、ゲストハウス 、塩つくり— 。浪越さんの次なる目標はそんな空間を父母ヶ浜につくること。地域の「カカワリシロ」をどう生みだすか、浪越プランを紹介します。 作りたいのは「関係案内所」 8月31日。この日は15時にいったん cafe de flots を閉めて、声をかけた仲間と、浪越さんは次なる目標の場所へ行きました。そ

          ぽかぽかの賞味期限 ④

          ぽかぽかの賞味期限 ③

           進む過疎化に対し、「課題が資産。どうしようが資産」と前向きに変換する浪越さん。人口減少そのものに逆らおうとするのではなく、流れにあった調和のポイントを模索していきます— 「行くな。」というほうへ cafe de flots が休みの日曜日。浪越さんと私は廃業した酒蔵をリノベーションしたゲストハウス 三豊鶴 へお手伝いにいきました。使われなくなったタンクの中をのぞくと、そこにはアーティストが描いた作品がありました。今回私たちが手伝ったのは、そんな美術館のような酒蔵で出される

          ぽかぽかの賞味期限 ③

          ぽかぽかの賞味期限 ②

           「観光ではなく、観幸。」だという浪越さんのもとで働くうちに、価値交換の方法や人との関係の結び方など、地域が抱える様々な "いきづまり" を解くカギが見えてきました。塩つくりと、持続可能な地域の、いい関係を紹介します。 物々交換の作用 浪越さんの cafe de flots でお手伝いをしていると、地域の方はお客さんとしてだけでなく、珈琲の味の相談や、使わなくなった材木を見てほしい。といった、実にさまざまな用事で浪越さんのもとへ集まってきます。それは、浪越さんは料理人、カフ

          ぽかぽかの賞味期限 ②

          ぽかぽかの賞味期限 ①

           「まちづくりは、料理と一緒なんだよ。」  手際よく煽られるお米たちを見つめながら、これから出来上がるオムライスは、まちづくりとどんな関係があるのか、見当もつきませんでした。神妙なトーンで「そうなんですね…」と、分かったような、分からないような心持ちで答えたものの、本当に腹落ちして分かったのは、帰る前日のことでした。 ”団欒料理人” ってなんだ?  私は香川県の三豊市仁尾という町でカフェやゲストハウス、塩つくりをしている浪越弘行さんのもとで、個人に行くインターンをさせても

          ぽかぽかの賞味期限 ①

          ばらばらをつなぐもの

          ばらばらをつなぐもの

          隙間はヨハク

          山形県金山町の関係人口創出プロジェクトのワークショップに行った時のことです。すでに金山町に住んでいる人と、行ったことすらない人が、金山町との関わり方について話し合っていました。お互いのバックグラウンドが違いすぎて、会話が進まず、うーん…と黙り込んでしまいました。こんな時、共通の話題に移る誘惑に駆られます。けれども「分からない」ということが分かってから、それでもぽつり、ぽつりと言葉を紡ぎ出していきます。二人は共通項を探すのではなく、立場は違うまま、同じ隙間に目を向けようとしてい

          隙間はヨハク