そのままを、そのままで
素朴なものを、素朴なまま伝えたい。心が動いたモノゴトを、そのまま伝えることは、どうしてか、怖い。そこらじゅうに落ちていたどんぐりの中から、自分に拾われて、「このどんぐり」になった瞬間。このどうしようもない無意味さに、むしろ惹きつけられ、心に風が通ったような気がした。それを伝えたい。けれど、「それになんの意味があるの?」と言われる気がして、おそれて「ネタ」に変えた。素朴なものを伝えるためなのに、受け取ってもらいやすいように、大げさな意味をくっつけたことで、本来あった姿がゆがむ矛盾。ただそこにある。ただそれが見つかった。そう言えなかった。あまりに断片的過ぎるものは、伝えるのが怖い。
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