売れるまでの時間残り39秒 1
1 最強のセールスシステム「39ピッチ」とは?
あなたはもう売れている
すべての「頼み事」はセールスである。想像しているセールスと違うのは、お店で販売員が売るようなセールスではないということ。
つまり、あなたは「お金」ではない何かを交換しているということ。
別にセールスはお金と交換しなくてもいい。あなたが何かを要求し、何かと交換しているのなら、そこに「売り込み」が発生している。
つまり人間は毎日セールスを行っている。
セールスができない人間は生きていけない
なぜなら私たち人類は驚くほど弱く、他人に頼らなければ生きていけない生き物だから。私たちは生まれた時から「誰かに何かをしてもらう」というセールスを行っている。
人は自然体ならばセールスがうまい。問題は会話中に不自然になって、相手に「買わせてあげていない」という‘決断の邪魔’をしていることだ。
脳科学マーケティングでは「脳は一定の条件をクリアしないと、買うという決断をしない」と言われています。
脳は混乱、長考・無関心になると決断をしない。
つまり通常のセールスピッチは、相手にとって不明確で複雑でつまらない。
これらを解決したならば、お客様の脳はスムーズに買ってくれる。
「39ピッチ」の大前提は、相手に感謝し、されること。
売る目的で会話に挑むのではなく、相手に興味を持ち、相手の助けになるための自然な会話をしていれば、普通に売れる。
ポイント1 売るためには自然な会話を心がける
相手があなたの言葉に耳を傾けているなら、すでに売れる状況である
自然に売れている状況には、常にあるものが3つあります。
① 「TRUST(信頼)」
② 「TIMING(機会)」
③ 「TROUBLE(苦悩)」
信頼がなければ売れない。タイミングが合わなければ売れない。苦悩と思えるほどの問題があり、それを認識していなければ売れない。
良い品であることは「売れる条件」には入らない
売りやすい、紹介しやすい要因にはなるが、それ単体で売れるわけではない。もし高品質のものが自然と売れるならば世界は日本製品だけであふれている。商品・サービスが素晴らしいものほど自然と売れない。なぜなら商品開発とサービスばかりに時間と労力と人材と資金を投資していたら、ブランディング、広報、マーケティング、セールスには全く使えないから。
これこそ‘売れない良品’の典型的な方程式である。
「許可なく商品を売らない」
相手に許可なくセールスを行うと、脳科学マーケティングでいうところの「広告拒否」が起きる
広告拒否とは、相手が無意識にあなたを拒否する行動をとる状態のことです。
では、許可とは何か?
「何をしている人なんですか?」「ここ最近本当に○○(本心の問題)があって大変なんですよ・・・」「□□(解決案)があったら助かるんですよね・・・」
これらのどれかを相手が言う、または相手から引き出したなら「39ピッチ」を放つ準備ができた証拠である。
共通点は、あなたに興味を持ったと知らせる質問を相手がしたこと。
許可があるならば、あなたはセールスピッチを言える。
ポイント2 許可なきセールスピッチは、セールスピッチにあらず
0.3秒で決断する世界
人間の脳(無意識)が決断をするまでの時間は0.2秒から0.4秒だといわれています。
私たちが思うよりも早く、人間の脳は「YES」か「NO」かを決めている
それを理解するまでの時間がかかるだけ
では、決めてになるのはノーベル経済学賞も受賞したダニエル・カーネマン博士が言う「システム1」の脳。
短絡的で怠惰な脳ということです。
つまり、ここに相手を維持させ続けることができるならば相手は素早く買ってくれる。
ちなみに「システム1」と「システム2」の脳とは何なのか?
あなたの目の前に鉛筆とノートがあるとする。2つの合計は1100円
ノートは鉛筆より1000円たかい。では、鉛筆の値段は?
この質問を多くの人にすると「100円」と答える
これは「システム1」の脳である
答え:鉛筆の値段は50円 ノートの値段は1050円
こんなシンプルな質問に対してエラーを起こすのが私たちの「システム1」という脳である。シンプルに選択をしたい脳である。
システム2の脳は「長考する脳」である。
お客様が決断をする瞬間、不安や恐怖をもっていたら一瞬にして「システム2」の脳になり、長考、混乱、無視のどれかを始める。
「システム2」になったら最後、お客様の疑問を解消するまで、つき合わなければならない。
普通のセールストークが長くてダメな理由の一つは、お客様の脳を「システム2」にさせすぎているということである。
購買=セールス(×マーケティング×ブランド)
セールスとはクローズにあり。クローズとは「成約」のこと。
最後に「やります!」と決めるその瞬間のことである。
セールスを楽にする秘訣は「マーケティング×ブランド(PR)」にある
39秒でブランド、PR、マーケティングが行うべきことをすべてやろうとしても、それは非現実的である。
しかし、もし仮にこれらがしっかりしていれば、39秒で購買が完了する
ロレックスの営業の場合、営業をする必要がない。
なぜか、それはブランド力、それを手に入れるためのPRとマーケティングがあるから。
なぜ39秒なのか?
39秒あれば脳には売れる。39秒あれば脳が「YES」と言う。いや、むしろ私たちは39秒で売らなければならない。なぜか?
私たちが興味あるかどうか、集中し続けるかどうかを決める時間は、たった8秒だといわれている。そして短期記憶は18秒しかもたない。
さらに無意識で決めた決断を、意識的に認識するまでにかかる時間は7~10秒かかる。これらの研究と実践の結果をまとめたのが「39ピッチ」です。
30秒→お客様にクロージングする訴求の時間
9秒→お客様に考えてもらう間の時間
合計して39秒。
その時間で買い手に確実に決めてもらうシステムが「39ピッチ」なのである。
39ピッチの「4つの力」
39秒で決めるにはどのような力が必要なのか。
ポイントは4つ。
【1】誰もが認める実績
【2】セールスへの恐れの解除
【3】相手が目を離せなくなる表現
【4】結果へのコミット
【1】誰もが認める実績
誰もが認める実績は人を安心させる材料となる。
脳科学的に、素早く安全な決断をするには、明確にその商品または人を「大丈夫」「安心」と思わせなければならない。
ちなみに実績とは“実際に売れている”ということ。
実績がない商品を39秒で売ろうとした場合は、商品よりも、「売っている人間の信用=実績」で売るという事になる。
たとえば、あなたの友人が薦めた商品や、圧倒的な社会的信用を持つ人物が推薦する商品など・・・短時間のセールスを行うには実績を十分に高め、その実績を力に王手をかける必要がある。
つまりその商品・サービスについてまったく認知されていなければ、まずその認知を一定レベルに上げていくことが必要であり、その認知が高ければ高いほど、それはブランド力が高いことになる
【2】セールスへの恐れの解除
セールスへの恐れの解除なしに、うまく何かを売ることはできない。
「嫌われること」「失敗すること」の恐れがある限り、あなたは買い手ではなく自分自身に集中し続ける。この状態で何かを買ってもらえるのは稀である。
セールスすることが怖いという人は多い。
このような気持ちは自分自身で排除し、自分自身を恐れの呪縛から解放しておかなければならない。しかしひとたびその気持ちを解除できると「ただ、がむしゃらに売り込めばいい」や「顧客と共感すればいい」などと考える人もいる。
しかし、それは間違いです。
「〇〇すればいい」といった単純なものではなく「自分の持っているアイデアを強いインパクトで提供する」という気持ちを持つことが大切です。
【3】相手が目を離せなくなる実績
相手が目を離せなくなる実現をしなければ意識してくれないし、記憶にも残らない。新しいものにあふれている現代では、とくに脳の意識を向けさせるのには工夫が必要となる。
あなたの最初の一言でお客様の脳を覚醒させ、39秒で購買を決定してもらうと考えるべき。
【4】結果へのコミット
結果へのコミットがなければ商品は売りにくいし、相手も買いにくい。
結果へのコミットとは「責任を持って絶対に成し遂げる」「商品・サービスを提供する」と誓うことです。
ニューロマーケティングの研究では、業務遂行の能力を証明するような発言があると購買率が平均33%上がるとされています。
つまり結果へのコミットができる状態で、目の前の39秒に全身全霊を傾けて取り組むことが大切です。
相手を自由に心理分析する方法
買い手に興味を持たなければ、信頼関係は構築できず売買は成立しない。
まず相手に興味を持つこと。
ひきだしたいことは「相手の性格」と、それを作り上げる「価値観」にある。「39ピッチ」では、「30秒の話し方・9秒の間の持たせ方」が重要です。
そしてその「話し方」を、相手の性格によって変えることがポイントとなる。
ゆえにピッチをおこなう前に、目の前の人物の性格のタイプを大まかに把握してほしい。人は、普通は自分のタイプでしか話すことができないものですが、少し注意を払うことで相手のタイプに合わせて話すことができるようになる。
まずは、自分はどうゆう性格のタイプに当てはまるかを考えましょう。
「アマサイの法則」-最強の購買性格診断法
私たちは“自分に似ている人”としか意気投合せず、成約までもっていけない。それはあなたと相手の性格が「決断」という分野で一緒だったからです。買う決断をする気はどうやって出るものなのか?
行動及び脳神経心理学に言えば「快楽を得ようとする」場合と「痛み(恐怖)から逃れる」ために人は行動する。
ではどんなことに快楽を感じ、どんなことを痛みと感じるのか?
それは「アマサイの法則」で知ることができる。
「アマサイの法則」とは、人間を4つのタイプに診断する購買性格診断法です。
4タイプには「表タイプ」と「裏タイプ」があります。
「裏」タイプとは、守備的な取引やお金の使い方をする人。
経済的ピンチや借金があるときに輝くタイプ。危機回避能力に優れている。
会話のなかでは、商品・サービスが解決してくれる【問題】を伝えるのが上手。つまりお客様の問題を発見するのに優れている。
もしお客様が「裏」タイプならば、安全性、確実性を重要視し、自分たちの問題について理解を示してくれる営業マンを好む。
「表」タイプとは、攻勢的な取引やお金の使い方をする。
経済的余裕があるときにチャンスが舞い降りた瞬間に輝くタイプ。
機会発見に優れている。
会話のなかでは商品・サービスが提供できる【価値】と【未来】を伝えるのが上手。つまりお客様の願うものを発見するのに優れている。
お客様が「表」タイプならば高品質、高リターンを重要視し、自分たちに価値を提供してくれる営業マンを好む。
訓練と予備知識なしでセールスをおこなうと、どうしても【問題】に注目するか【価値】に注目するかのどちらかしかない。
ゆえにお客様は
(A)問題は理解できたが商品の魅力を感じない
(B)商品はいいとわかったが、自分にどう関係し何の問題を解決してくれるかわからない
のどちらかになってしまう。
人間は「システム1」の決断(素早い決断)を行うためのショートカットとして「価値観」を使い自分にあっているかそうでないか判断する。
価値観とはその人にとって価値を感じるかどうか。
もらってうれしいか?失って悲しいか?を決める。
それを理解したうえで、次の4タイプに自分がどうあてはまるかを見てみましょう。
(1)アクティブタイプ
(2)マネージタイプ
(3)サービスタイプ
(4)イノベートタイプ
この性格を4つのタイプで類型化する法則。
ちなみにこれらのタイプは複合的でもある。
「ほとんどアクティブタイプだけど、少しサービスタイプも入っている」
「いつもはサービスだけど、イノベートの要素もあるな」
いいった具合です。
そのうえで【価値】を重要視した「表」タイプなのか、【問題】を重要視した「裏」タイプなのかに分かれる
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