都市(まち)に関わる映画のご紹介 ③
こんにちは。
本日はインド映画から「パッドマン」(英題:Padman)をご紹介させて頂きます。
インド映画と言えば、笑いあり、涙あり、ミュージカルありの長編映画。という、ボリウッドの定番をご想像される方が多いかもしれませんが、こちらは実話に基づいてつくられており、笑いがありつつも、インド社会が色濃く反映されていて、それでいて日本にもどこか通ずる部分のあるメッセージ性が非常に強いドラマ映画となっております。
都市(まち)に関わるということは、交通開発もしくは、住居区開発?といったハードなインフラをご想像された方もいらっしゃるかもしれませんが、全くそういったお話ではありません。
1人の起業家が、「健康的に過ごす上でまちに欠かせないソフトなインフラ」の設備を進めたストーリーになっています。
(映画を既にご覧になられた方でも、きっと違った目線でこの映画を見直すきっかけになるかと思いますので、良かったら是非お付き合い下さい。)
まえがき
2018年に日本で上映が開始した「パッドマン」。
物語はインドの都市ではなく、郊外にあたるであろう"とある町の一画にある家族"から始まります。
インドの場合、他の映画からも察するに2世帯で暮らすことが伝統的であると推察されますが、主人公"ラクシュミ"も自分の母・妻、そして子供と暮らしており、一見生活するうえでは贅沢は出来ぬものの、最低限の環境は整っている暮らしを送っているように思えます。
ですが、とある「サービス」の価格に関しては国全体で価格の妥当性が低く、必要なモノ(必需的サービス)なのにも関わらず、嗜好品扱いのようになっておりました。
それ故、主人公宅でもそのサービスを使うのは困難であり、主人公はその現状を問題視し、それが自分たちのような収入層の人たちでも利用できるようにすべく奮闘する。というお話です。
このある「サービス」って一体なんなの?と思われた方も多いと思いますが、それは「生理用品」です。
恐らく、一部の方は、それって都市(まち)に関係あると言えるの?と疑問に思われたかもしれませんが、その疑問を払拭できる様、次項で説明させて頂きます。
ですがその前に、映画本来の面白さが伝わるよう先に予告を貼っております。(良かったらご覧になってみて下さい。)
まち視点からみる、この映画の魅力
なぜ、生理用品の供給が都市(まち)ひいては、都市計画に関係があるかと言うと、
都市計画とは、そのまちを利用する人々(住んでいる人・訪れる人)がよりよい暮らし・生活が出来るように整えていくこと
(私はそう思っています。)であり、それはハードだけでなくソフト面も同様です。
”よりよい暮らし”や”それぞれのまちが思う理想のまち”の定義が違う為、
ここを単一的に示すことはできませんが、人々の健康感や幸福感を高めるまち(Healthy City・Livable City)、包括的都市(Inclusive City)、持続可能な都市(Sustainable City)、フェミニストプランニング(Feminist Planning/Theory)
といった主義・思想では間違いなく核の一つに入っているのが女性の健康・あらゆる権利をサポートし保証することです。
この映画から読み取れるのは、
① 文化・社会的に女性の生理というトピックが(国/町/隣人/家族にとって)どういうものと捉えられているか?
② インドはどんな習慣的ルールを持っているか?また、そのルールによって特定の場所・空間から疎外されている人が生まれてしまっていないか?
③ 映画では、勇敢な一人の起業家から始まる努力と意志の強さが影響し良い波及効果を生んでいるが、まちのソフトインフラ整備を考慮するうえで、公共部門はどうサポートもしくは、解決策のプランを検討すべきだったのか?(政府として、この問題にどう向き合うべきだったのか?)
といったことが挙げられます。
もちろん、インドの都市デザインを感じることもできますが、それは他のインド映画でも感じ取れてますので、他のも是非観てみて下さい!
(インド映画は、町のデザインを上手く使って構成をつくっている映画が多い。という個人的な所見が基にはなりますが、ピザ!やめぐり逢わせのお弁当、バジュランギおじさんと、小さな迷子などがおすすめです。)
最後に、この映画のモデルとなっているアルナチャム・ムルガナンタムさんがどんな志を持ってナプキンの開発・普及に励んだかをスピーチしている動画がTEDにありますので、こちらに添付させて頂きます。
(おそらく、このスピーチの為に英語もご勉強されたのかな?と勝手に考えては、余計に感動しました。)※日本語字幕付きですので、ご安心下さい!
https://www.ted.com/talks/arunachalam_muruganantham_how_i_started_a_sanitary_napkin_revolution?language=ja#t-929
映画も現時点では、ネットフリックス・ツタヤでご覧になれます。
是非、皆さんの考察や感想も教えてください!
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。
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