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(すてき旅)

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#博物館

美術館レポ:武家屋敷で味わう根付と模型の世界

【約2,200文字、写真16枚】  はじめて私の記事を買ってくれた感受性豊かな方、みゆきさん。彼女の文章は、感情が素直に綴られていて、言葉が楽譜のようです。そんなみゆきさんにオススメしていただいた美術館を、体験してきました。 ユニークで小粋な根付と模型愛  立派な門構えのお屋敷に到着し、チケットを買って中に入ると、奥に人の気配はありません。  一人になった模型好きの私は、何だか物珍しくて、部屋のあちこちを興味津々に観察して回ります。 「何じゃろこれ? カプセルトイ?

大覚寺展に行ってきました。

 先週ですが、久しぶりに上野公園の国立博物館・平成館で開かれている、 大覚寺展に行ってきました。  天気も良くて、公園広場の噴水のまわりのチューリップが綺麗に咲いていました。 さて、大覚寺展です。 平成館、思ったより混んでいなくて並ばずに入れました。 まだ、始まったばかりだからかもしれませんね。 一応、ホームページより概要を載せます。 開創1150年記念 特別展 「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」 平成館 特別展示室 :2025年1月21日(火)

京都のお正月 :2〜嵐山編(若冲激レア展)

(承前)  1月3日——つまり、正月三が日でありながら、嵐山の福田美術館では「若冲激レア展」が開催中とのこと。  東山界隈をひとしきりまわって、まだ14時。このまま帰るのもどうかなと欲を張って、バスでひたすら西へ1時間……執念の、嵐山行。   「若冲激レア展」は略称(愛称?)で、本展は正式名称を「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!」という。  異世界転生モノなどのラノベにありがちな冗長なタイトルを模し、デザインまわりもそれ

土偶が集結!開催中の3企画展レポート/岩手、山梨、神奈川、(埼玉・宮崎の土偶展情報も)

秋の行楽シーズンに合わせて、縄文界隈の展覧会が賑わいを見せています。そんな中で『土偶』に注目した企画展も各地で開催中てす。 普段は各地に散らばっている土偶を、一度に見ることのできるチャンスです!土偶ファンのみならず、土偶ってなに?という方にも気軽に楽しめる内容になっています。 ここでは私が実際に足を運んだ各地の『土偶展』をご紹介します。 『はちまんたい市の土偶展』八幡平市博物館八幡平市の縄文時代が、35点の土偶たちにぎゅーと詰まっています!あまり世に出ることのない雪国の土偶

平城京の町なかのお役所 -大学寮と鋳銭司- /平城宮いざない館

 奈良市平野部の中央、およそ2,500ヘクタールにおよぶ平城京の心臓部の跡地が、国営歴史公園となっている。  園内にはいくつかの施設があり、「平城宮いざない館」に関しても、詳細はともかく、存在だけはなんとなく認識していた。  このたび訪ねることとなったのは、考古の展示らしからぬ、企画展リーフレットのかわいらしいデザインに魅かれたため。  ネーミングから、ビジターセンターふうの施設だろうと勝手に想像。近場ということもあり、気楽に来館したのだが……平城宮跡にふさわしい規模の常設

多彩な抹茶の器「茶入」 /野村美術館

 京都市営地下鉄の蹴上(けあげ)駅を降りた頃は、ぽつりぽつり。  南禅寺方面へ歩みを進めるごとに雨足は強まり、野村美術館の前に着いたとたん、土砂降りに。たまらず駆け込む。  室内で聴く雨音はかえって風情が感じられるものだから、ふしぎだ。  きょうは、茶の湯のうつわ「茶入」のお勉強にやってきた。昨年は「茶碗」のお勉強。茶碗ときたら、次は茶入である。  野村美術館の展示は入門書を読み解くようで、たいへん勉強になるのだ。  こうしてノートをまとめるのもまた、お勉強。しばし、展示の

宇都宮めぐり2(栃木県宇都宮市・宇都宮駅/宇都宮美術館「20世紀アートセレクション」展ほか)

宇都宮めぐりも折り返し。かなりハードスケジュールである。餃子? 行列がすごくてね・・・ ・栃木県立博物館 栃木県の名を冠した博物館だけあって、美術館と同様こちらもかなり広大な規模である栃木県立博物館。栃木県における自然系の資料や歴史や文化といった人文系の資料も含め、あらゆるものをテーマとして網羅している博物館である。ミミズク土偶のみーたんというのが公式キャラクタだそう。可愛さについては個人の好みに任せることにする。 入口からすぐ目の前に飛び込んでくるのは2階まで吹き抜けて

世田谷で縄文も楽しむ!とっておきのアート散歩

美術館巡りや街歩きがストレスなく楽しめる季節。 魅力的な数々の企画展に加えて、創造性豊かな縄文の遺物もアートとして見逃せないと、アート好きとしては忙しくも嬉しい日々です。 今回は「一人でゆったりアートを」という時にお勧めな、東京都世田谷区の東急世田谷線界隈を歩きます。 画家と彫刻家のかつてのアトリエや郷土資料館を訪ねながら、2~3時間で廻るアート散歩です。 ① 向井潤吉アトリエ館 閑静な住宅街の中にあるのは、洋画家・向井潤吉(1901年~1995年)の自宅兼アトリエ。現

【料理エッセイ】釧路で発祥グルメを堪能してきた!

 友だちに会うため、釧路に行ってきた。  正直、釧路にこれといったイメージはなかったけれど、行くからには楽しみたい。そして、わたしにとって旅行の楽しみは食事だから、あれこれ、事前に調べてみた。  期待はしていなかったが、意外にも、興味深いフレーズがどんどん出てきた。なんと釧路は炉端焼き発祥の土地なんだとか。その上、ザンギも発祥というから驚きだ。さらに市場などで好きなお刺身を選ぶ勝手丼も釧路発祥と言うではないか。  どうやら釧路は発祥グルメの宝庫らしい。  一応、友だち

【ボタンの博物館@日本橋浜町】小さなボタンに世界の歴史

ボタンの博物館東京都中央区日本橋浜町1-11-8 1946年創業のボタンを中心とする服飾付属品メーカー、アイリスが運営している「ボタン」だけの博物館です。 完全予約制で、webサイトのフォームから予約できます。学芸員さんがガイドしてくださるガイドツアーが不定期に開催されていて、入館料にプラス500円になりますが、ガイド付きにして大正解でした。とっても気さくな学芸員さんがつきっきりで解説してくださいます。 館内は外からの印象よりずっとエレガントな雰囲気で、まるで高級テーラ

いざ北鎌倉 〜宝物風入(かぜいれ):1 /円覚寺・建長寺

 金沢文庫の駅から乗車し、逗子でJRに乗り換えて、北鎌倉を目指した。11月3日、文化の日のことである。  例年、この時期の3日間、鎌倉五山の円覚寺と建長寺では「宝物風入(かぜいれ)」が催される。晴れた日に宝物を外気にさらして湿気を飛ばし、カビや害虫による被害を防ぐ、いわゆる「虫干し」「曝涼(ばくりょう)」の行事である。  日頃は秘蔵されている宝物が、この日ばかりは所狭しと並べられ、門戸が開かれる。本来的には保存のための行事であるが、ついでに公開もするというわけだ。  この機に