経験値増やして、感じ方増やして、味わい尽くすのが小説の醍醐味だと思う
歳とともに、フキノトウやコーヒーの苦味を好むようになる。それと同じで…小説も癖のあるものじゃないと物足りなくなってきた。
10代、20代、ギリギリ30代の頃は「スッキリ解決」とか「良い人が報われる」とかキレイに終わる小説が好きだった。結末は感動のナミダ的な小説。
40 歳をとうにこえた今はどうだろう。「残酷だけどキレイ」とか「悪の中の煌めき」とか一筋縄ではいかないものに心が惹かれてしまう。モヤモヤさせられたい感じ。
年齢では決められないので、早くからそういうのが好きな人もいるかもしれないけれど…。逆も然り。
食べ物については、「苦味に対する経験値が増えることによって少しづつ苦いものも好きになっていく。」と聞いたことがある。小説も歳を重ねて経験値が増えることによってもっと楽しめるなら…そんな面白いことはない。
私には毎年夏に決まって読んでいる小説がある。その一冊にしても毎年毎年、感じ方が違う。この先もズッと夏には読むつもりなんだけど…いざこの世とのお別れが迫った時になっても「あ〜、この本のこの部分、こんなことも言っていたのか〜」って気づいたりして…。経験値増やして、感じ方増やして、味わい尽くすのが小説の醍醐味だと思う。
※毎年夏に読んでいる小説です。
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