「毒親育ちが毒を生む」のは本当か
「毒親に育てられたら毒親になる」
よく聞く言葉であり、私自身も悩んだことがあった。
けれど実際、そんなに単純な問題なのだろうか。
最初の学校である「家庭」
もちろんそうした不安を否定することはできないし、否定したいとも思わない(むしろ親になることへの不安にはすごく共感する)。
外山滋比古氏の「家庭という学校」という本がある。
毒親について書かれたものではなく、また子育て本でもない。
あとがきで著者が述べているように、「こどもの成長についてのエッセイ」である。
外山氏が「家庭は最初の学校である」と述べたように、他者とのコミュニケーション方法を学んだり、倫理観を養ったり。
家庭は本来、こうした機能を持つものだと思う。
そのため、所属できる場所の数が少なく、家庭で過ごす時間の比重が高い幼少期には、家族の言うことは絶対であるし、おかしいと感じる間もなかったりする。
しかし歳を重ねて、所属する場が増えていくと、機能不全育ちにはある疑問が生じる。
「あれ?なんかうち、変?」
こうした違和感が急に親への不信感に繋がるものではない。
ゆっくりと堆積していき、徐々に心を蝕み、気づかないうちに体の不調へも繋がる。
自分の家族がどうだとか、よその親はどうだとか、それこそ比べるべき適切なモデルがある訳ではない。
では、自身で家庭を築く際に、規範となるのは?
自分が育った家庭ではないか。
毒を断ち切るためには
健全な家庭で育った人も、自分が育てられた(してもらった)ことをベースに子育てをする。
機能不全家族で育った人も、無意識のうちに「親の子育て」がベースになる部分はある。
そのため、毒親に育てられたから毒をもつ訳ではない。
外山氏が述べたように、「家庭は最初の学校である」からだ。
そうはいっても不安はある。
どうすれば負の連鎖を止められるのかと。
解決策のひとつは、たくさんのモデルをみること。
本でもSNSでもよい。
様々な家庭についての事例を知ることが大切。
最初の学校が変だったなと思うなら別の学校に入り直せる。
他校の人と関わって視野を広げてみてもいい。
時間はかかるかもしれないけれど、学び直す意志があればいつでも学び直せる。