何者でもなく、何者にもなれる無敵の春だった#4
大学にいく春。
私は何者だったんだろうか。
何者になりたかったんだろうか。
私はあの頃、どんな大学生活を思い描いていたんだっけ。
もう遠い昔のような話で、思い出すのが難しかったりもする。
でも確実に、今まで生きてきた世界にはない何かがあると思っていた。
キラキラした何か。楽しいこと。夢。希望。
よく思い出せないけど、とにかくふわっと、大学生という世界を楽しみにしていた。
私が何者であるかなんてことは、実際どうでもよかった。
私は等身大で、何者でもない私がそこにいることを無意識に理解していた。
正に無敵ってやつだと思う。
私が何者になりたいかは、
まあこれからいくらでも考えられるし、
なろうとすれば何にでもなれると思っていた。
これもまた無敵ってやつだと思う。
大学にいく春。
私は何者でもなく、
何者にもなれる無敵の春だった。
無敵の春から時が流れて、私は一体何になってきたんだろう。
思い返してみると、本当にいろんなものになってきたような気がする。
思い描く世界と現実世界の狭間で揺られ揺られ。
揺られながら、何者なのかを考えさせられ、何者になりたいかを考えさせられ、これからまた見る新しい世界、社会というものを考えさせられ。
これだけ考えさせられる時間を過ごして、
私がなれたもののひとつは、考えることのできる人。
そして、
今の自分もまた等身大で、
何にでもなれると思って生きています。
今日も読んでくれてありがとうございます。
美保