最初の一口と最後の一口に向き合えたら #5
母の作ってくれるカレーライス。
私は、世界一だと思っている。
具がごろっごろしていて
辛さの中にほんのり甘さもあって
心も一緒にあたたまる。
とっても、とっても優しい味のカレーライス。
中学生の頃、母と喧嘩をしていた日
夜ごはんで食べたカレーライスの味は
本当に、本当に美味しくて
涙が止まらなかったのを今でも覚えている。
最初の一口目、優しさで包まれるあの感じはなんだろうか。
身体が、心が、ほかほかしてくるあの感じ。
今、ここにいてよかったなあ、幸せだなあと思う。
それから、
二口目、三口目、と口に運びながら
家族と話をする。
それは、何でもない今日の話。
今日あったこととか、思ったこととか
テレビの話とか、しょうもない話とか
本当に何でもない今日一日の話。
最後の一口。
それは今日この時間が
この何でもない尊い時間が
終わりに近づいていることを意味している。
優しさで包み込まれたまま、最後の一口を口にする。
美味しかった。
良い時間だった。
優しい時間だった。
あったかい気持ちを感じながら
母に、ご馳走様を伝える。
母は、カレーライスと一緒に
家族の時間を作ってくれたんだなあ
なんて、今書きながら思う。
こんなこと、食べている時はきっと考えられないんだろうな。
でも、もし、もしもこんな気持ちで最初の一口と最後の一口に向き合えたら、なんて素敵なんだろうかと思うわけです。
今日も読んでくれてありがとうございます。
美保