Jam(マンガ・文)・名越康文(監修)『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)
相手は変えられない。でも、自分の考え方は変えられる。・・・64のモヤモヤに対する考え方をマンガと文で解説する。とても心に響いて来る内容。その通りにはできないことも多いけど、読んだことで気づきを得られたことは収穫。読んで良かった本。
人間関係のモヤモヤ20嫌な人への怒りがおさまらない
〈私はそういった人のことは、できるだけ早く忘れてしまうことにしています。問題の直接の解決にはなりませんが、まずは心の平穏を保たないと、自分が壊れてしまうからです。(…)どうやって忘れるかは人それぞれですが、私の場合は許してしまうことが多いです。色々試したのですが、それ以外のどの方法をとっても、心のモヤモヤが晴れませんでした。もちろん、嫌な相手を許すことには、抵抗もあると思います。でも、まず逃げるために、相手を許す自分を許すと思うと、少し気楽かもしれません。相手のためでなく、誰のためでもない、自分のために。ーー嫌な人のことは、自分のために忘れる。〉
マンガにもあった脳内シャドーボクシングという言葉が心に響いた。それは何の解決にもならない。自分を消耗するだけで、相手はそれこそパフェでも食ってる。忘れるために許す、許さないと忘れられないという理屈は分かるが難しいな。許すことが一番難しい。自分のために、はキーワードかも知れない。
人間関係のモヤモヤ21嫌な人のことをずっと考えてしまう
〈嫌な人のことで頭がいっぱいになって、何も手につかなくなることがあります。(…)それが、人生の中の貴重な時間を食い潰していると思うと本当にもったいないです。(…)「いつまで心の中に嫌なやつの居場所をあげるの?」(…)「頭の中がいっぱいでつらい・・・」と被害者の気持ちのままでいるのではなく、「あなたの部屋はありませんから!」って何度でも追い出し続ける。受け身の被害者に慣れてしまうとずっとそれが続きます。〉
ひとつ前の20と連動している。まさにシャドーボクシング状態。そのシャドーボクシングでは常に自分は正しい被害者で相手は理不尽な加害者。それを繰り返しても相手の認識を変えられるわけではないのだ。被害者のままでいることは、被害者であり続けるという意志。ずっとそれを続けるのか、という自問自答が必要だ。
人間関係のモヤモヤ26どうしても許せない人がいる
〈「人を許せないと…ずっと傷つき続けるよ」「いや…それは偽善だから。自分にウソをつかずにもっと怒るべきだよ」「許せないといつまでもつらいんだよ!!」「いや、許す方がつらいし余計に腹が立つね!!」(どっちでも…楽になれる方でいいんだよ。)人を許す許さないの選択も人それぞれで、それを決める際は外の声は無理に聞かない方がいいかもしれません。(…)「許す」って優しい言葉にも感じますが、「許す=優しさ」だけとは限りません。自分を守る手段の一つとして「あえて許す」ことで楽になれることもあります。(…)外の声より自分の本音。自分が楽になれる方法が一番だと思います。〉
許すのもアリ、許さないのもアリ。無理をする必要は無い。今自分がどうしたいかを自分に聞く。許せないのに、許さなきゃいけない、と思うこと自体が負担だったりする。先の20に連動してくる話だ。どうすれば自分は一番楽か?とても具体的で考えやすいと思う。
職場のモヤモヤ44人と比べて仕事ができない自分に落ち込む
〈人と自分を比べたり、周りの人が褒められているのを見ては、「自分はだめだ…」と落ち込んでしまうことがありました。ふと思いました。なんで比べたんだろう?って。これって、自己評価が低いようで、実はかなり高かったんだと思います。だって自分もそのレベルでできるはずだと思ってなければ、落ち込むはずがありません。(…)そこに届くだけの実力が自分にあると思うから、今、できていないことにへこんだり、褒めてもらえないことに落ち込むのだと思います。ーー目標は目に見える高さからでいい。〉
これ、結構イタい。仕事の話だけとは限らない。自分に自信があるから落ち込むんだ、という自覚を持てば、自信のある所で一つ一つ実績を積んでいくしかないのだということが分かる。遠回りに見えるが、それしか道は無いのだと思った。
サンクチュアリ出版 2018.7. 1100円+税