着物の下の内緒の話 (追記あります)
着物を着ていると、小さな声で「下着、どうしているの?」と聞かれることがあります。女性からも、男性からも。
今回はそんなお話。
学生時代、男友達から聞かれたことがあります。
「ねえねえ、浴衣ってさ、下は何にもつけてないってホント?」
キラキラよりも、ギラギラ寄りの目でした。
当時でも、素肌に直接は着ていませんでした。
はっきりとは言いませんでしたが、
「・・・ん~~、そんなことは、ないかな」
「むいたら、裸!?」なんてことをつぶやいていた友人の夢を、あえなく打ち砕いたようです。
今は、浴衣の下でも、もっとしっかり着ています。
あら色気がありませんわね。失礼。
着物でも、下着はつけます。
昔はさらしを巻いていたようですが、今はそんなことはなく。
和装のブラなるものがあります。
それに肌襦袢か和装用のスリップ。
長じゅばん。
それから着物です。
その前に補正用のパッドやタオルをつけることもありますが、色気がないので、割愛(もうすでに色気はありませんけどね)。
着物をまとっても、ひもで結び、伊達締めを巻き、それから帯を締めます。
これは博多織の伊達締めです。
帯を巻きながら、帯枕や帯揚げ、帯締めをつけていきます。
これは帯揚げ。
こちらは帯締め。
ひとつずつ身につけて、キュッと帯締めを締めて、着付け終了でございます。
かつては、女性は下着をつけていませんでした。
1932(昭和7)年のデパート火災で変わったといわれています。
12月、歳末大売り出しでにぎわっていた東京・日本橋にあった白木屋というデパートで火事が発生。クリスマスツリーを飾り付けていたら火花が飛び、玩具売り場であったため、大量のセルロイドおもちゃが燃えて、瞬く間に広がったそうです。
白木屋は当時としては高層の7階建て。
(写真は「決定版昭和史6」より)
上層階に吊りはしごをかけるも、すでにかなり火に巻かれていたそうです。
ロープをたどって降りようとしたけれど、当時の女性は腰巻をつけていてもズロース(太ももまで覆うゆったりした下着)をつけていなかったために、恥じらって降りられなかった。
という説が有名です。
しかし、白木屋が責任逃れのために、そういう話を流布させたようです。
5日後の都新聞に「婦人よ 如何なる時も ズロースを忘るな」という記事が出て、「下着をつけるように」という方向へ変わった(変えた)ようです。
井上章一さんが詳細に調べています。
命からがらの時に、それどころではなかった、と。
今も「デパート火災が下着を普及させた」と一般的に知られていますが。
いずれにせよ、この後で洋装や下着が広がったのでしょう。
そういうわけで、着物でも今は残念ながら下着をつけていますのよ。
でも、かすかな希望?としまして、おへそを隠すような深いタイプではなく、ビキニタイプ、です。
Tバックの方もいらっしゃるようです。ラインが出ないように。
幻想をこわしましたでしょうか?
ごめんなさい(特に殿方)。
でもね、今も下着を身につけていない女性もいると思いますよ。うふふ。
【追記】着物を日常的に来ているみおいちさんのコメントから。
湯文字というものを身につけて、下着をつけない人もいるとのこと。湯文字はこれです(写真はゑり正ホームページより)。
この話、3児のパパさんにコメントしたことから思いつきました。
私の盟友・みおいちさんをいじっています。お二人は相思相愛ですね💖
読んでいただき、ありがとうございました。
いつもとはずいぶん違った内容になってしまいました。
おほほ、お許しを。
※イラストは洵さんからお借りしました。ありがとうございます。
いいなと思ったら応援しよう!
![川ノ森千都子(ちづこ)☘️モノカキスト](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64674256/profile_f4f853748e94a30106a4ef9598c09801.jpg?width=600&crop=1:1,smart)