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ゴッホがゴッホになるまでを見て地べたから考える
「絵が、動いている感じがするよね」
息子が、かつてゴッホの絵を見た時にいった言葉。
躍動感があって、空気がふるえているような、絵。
心から惹かれるけれど、リビングやダイニングには飾れない。
常に魂を揺さぶられそうで。
落ち着かなくて。ドキドキして。
そういって、息子と笑ったことがある。
そんな贅沢は、ありえないのだけど。
ひと目で惹きつけられる絵と、激しい生涯から天才と呼ばれる画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。
今、都美術館で展覧会をやっている。
(今後全国を巡回予定)
個人コレクションとして世界最大のクレラー=ミュラー美術館から、ゴッホの作品が来ている。
絵画28点に素描・版画など20点。
それに同時代のほかの画家、ファン・ゴッホ美術館からも作品が展示されている。
天に向かってドリルを回転させていくような糸杉、『夜のプロヴァンスの田舎道』(上の看板の絵)
太陽の光まぶしい、『種まく人』(絵葉書より)。
ヘレーネ・クレラー=ミュラー(1869-1939)は、無名だったころからゴッホのコレクションを始めている。
むしろ彼女が収集し紹介したことが、ゴッホを有名にしていったひとつの要因となっているそうだ。
ていねいに、初期の素描や初めての油絵を拾い上げていった、ヘレーネ。
私は、その素描から目を離せなかった。
正確で、繊細で、ていねいで、力強い。
ああ、この素描があって、あの絵が成り立っているのだ、と。
当たり前の事実を、改めて感じる。
何度も自分のタッチを探し、表現を試み、苦しんだゴッホ。
その足跡の一部を見ることができた。
あのデッサンの上に、生命がほとばしるような絵の具がのっていったのだ。
ゴッホは、命を懸けて絵を描き続けた。
死後、ヘレーネが集め、紹介し、ゴッホの名は少しずつ広がっていった。
ゴッホがゴッホになるまで、歩んだ―――
その道のりと絵を、見て感じることができた。
自分の絵を探す、その道程を。
今や星のごとく輝くゴッホを見ながら、考える。
はるか遠く、地べたから。
自分を自分たらしめるものは何だろう、と。
平凡なる者でも、いくつになろうとも、這いつくばりながら、考え続ける。
※最後の絵は著作権フリー写真よりお借りしました。
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