窓から緑が見える部屋と家と町
大きな窓から、緑が見える部屋があったら。
今の私の、心からの願い。
私の家は都会の小さな小さな家。
緑のある地域ではあり、リビングからは緑が見えるけれど・・・
私の部屋からは見えない。
家を建てた10年以上前は、今の生活と違っていた。
だから、あまり深く考えていなかった。
毎日出社し、夜帰宅し。
週末は出かけるか、家事をしていた。
でも今。
家の時間がどんどん大きくなり、旅にも出なくなって。
息子はもっと出られる時間と自由を。
夫は飲みに行ける場所と安全を。
望んでいる。
そして、私は。
心から欲しているものに気がついた。
大きな窓から緑が見える、私の部屋。
疲れているのかなあ。
ほっとしたい。
目も、心も。
窓からの景色の前に。
私の部屋もなかった。
交渉の末、なんとか確保して。
夫には書斎があるから。
小さな窓はあって、外は見えるけれど緑ではない。
仕事の関係で、今の場所を離れにくい。
夫は都会好きで、ここを気に入っている。
息子の学校問題もある。
私自身、ここの地域は好き。
だから、引っ越しは考えていないのだけど。
でも・・・
鎌倉を訪ねたとき。
友人と話し、夕方近くなった。
鶴岡八幡宮に詣でたあと、カフェでお茶を飲もうと思った。
おいしいスイーツの店を探そうと思っていたら、境内にカフェを見つけた。
一軒目を通りすぎて、二件目で(境内に二軒あった)
「ここで休もうか」とふと思った。
スイーツよりも落ち着く場所が、いいのではないかな、と。
戻るのはおっくうだったので、二軒目に入ってみた。
奥の、大きな窓に近い席に通していただいて、
「ああ、ここだ・・・」
窓からの景色を見て感じた、限りない安堵感。
心包まれるような、緑。
たっぷりでなくても、若葉が美しい樹木が見えたら。
季節の花が見えたら。
どれほど心が落ち着くだろう。
地域に緑はあって、見つけると目が喜ぶ。
もっとあちこちに緑があったなら。
遊具があっていいけれど、子どものためだけの場所でもなく。
緑があり花が咲き、ベンチが置かれているような。
地域で花の手入れをするような。
入らなくても通るだけで、緑を見てほっとするような。
誰もがほっとできるような。
もしも願いが叶うなら、緑豊かな町にしたい。
緑豊かな町を、場所をふやしたい。
もしも窓から木々を見られる部屋を持てたとしても。
緑を見ながら散歩し、買い物し、ただ歩けたら。
ベンチに座り、近所の人と語らい、時として花を植え。
土に触れて、つながる。
大地と、人と。
願いが叶うなら。