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シビレる蔦重のセリフに感極まる!

女郎屋の親父衆に言い切ったセリフにシビレました!!

「女の股で飯食ってる腐れ外道の忘八の、
たった一つの心意気なんじゃねえっすか」

「花魁たちに胸を張らせるために、
つまんねぇ脅しに負けねぇで、共に戦ってくだせえ!」

よく言った!蔦重!

女郎の血と涙がにじんだ金を預かるなら、女郎たちが一番得するようにしてやりたいという話から、じわじわと胸に響いていたのですが、締めのセリフにドッカンとやられてしまいました。


こと吉原の事に関しては”正義のかたまり”のような蔦重ですが、その反面、鱗形屋うろこがたや(片岡愛之助)の重版を知っていながら黙秘していたのは、内心は摘発されることを望んでいたというダークな部分もあり、鬼平(中村隼人)との会話で、それがはっきり判りました。

鱗形屋の没落を、実は好機と思っていたことには違いないのです。

なかなか隅に置けない部分もあり、それが本当に吉原のためなのか、自分のためなのかは、今後の展開を見たいところですね。


どこの誰?何の会合?
登場人物を整理しておこう!

同じような親父たちが集ったり、女郎たちのシーンがあって、そのシーンに切り替わる度に、「ここはどこの誰?」と戸惑う事はないでしょうか?
様々な団体があって、ストーリーの行方を追うためには基本的な登場人物をここで把握し、今後の私自身のためにも、わかる範囲で整理しておきたいと思います


※以下、分かりやすいように演者からの書き出しにしています。

🌸吉原・経営者編

・高橋克己ー駿河屋 市右衛門(引手茶屋:吉原遊郭の総合案内)
女将は飯島直子(ふじ)
横浜流星(蔦屋重三郎)ー「蔦屋」(貸本屋)
実子の中村蒼(次郎兵衛)が経営者となるべきかもしれないが、実質は蔦重。

正名僕蔵まさなぼくぞうー「松葉屋 半左兵衛」(女郎屋)
女将は水野美紀(いね)
小芝風花(花の井/瀬川)や小野花梨(うつせみ)など。

・山路和弘ー「扇谷 宇右衛門うえもん」(女郎屋)
和歌、画などをたしなむ教養人。

・安達祐実ー「大黒屋 りつ」(女郎屋)
童顔なので違和感はあったが慣れてきた(笑)。
後に蔦重に大きく関わってくる?

・伊藤淳史ー「大文字屋 市兵衛」(女郎屋)
気が小さくてドケチ。あの小さかったチビノリダーがこんなオッサンになったとは感慨深いものがあります💦 
蔦重に焦がれている稲垣来泉くるみ(かをり)がいる店。
山村紅葉(志げ)ー大文字屋の監視役。女将かと思わせるほど態度はでかい。

かたせ梨乃ー「二文字屋」(女郎屋)
いつも蔦重の出版本の製本を全員で手伝っている。
優しかった亡き花魁・愛希れいか(朝顔)がいた。
格下女郎屋のせいか、会合にも参加していない。

🌸出版業者編

「地本問屋」や「版元」の違いがよくわからない人も多いのではないでしょうか?
AIによると、
”地本問屋は版元が営業する書物問屋の一種で、(中略)
版元は出版社兼書店として、作品の立案から出版までを担っていました。
とあるので、本出版まで総合的にプロデュースしている「地本問屋=版元」と取った方がいいでしょう。

片岡愛之助ー鱗形屋 孫兵衛
蔦重の指南役でもあり逆に陥れたりと、その関係は良いのか悪いのかわからない。
私が見た感じでは、本作りを目指すもの同志としては、意外と相性は良いように思う。

風間俊介ー鶴屋 喜右衛門
今回はまたダークすぎる風間ですね💦笑顔が怖いわっ!
地本問屋のリーダー的存在であり、草双紙や錦絵で数多くのヒット作を出版。
若い才能を発掘してプロデュースするなど、一時代を築いた。
今後の蔦重のにとって真のライバルになるかも。

西村まさ彦ー西村屋 与八
錦絵で有名な「永寿堂」の経営者。
彼一代で江戸を代表する地本問屋となる。
蔦重による吉原の女郎をモデルに呉服屋とタイアップするというアイデアを利用したカタチになった。
その後も「美人画」を数多く手がけ、以後は蔦重のライバルとして切磋琢磨して共に出版界を牽引する事になる。

芹澤興人せりざわたてとー小泉 忠五郎
今回、西村まさ彦さんとタッグを組んできましたね(笑)
吉原細見の改めの仕事に関しては蔦重よりはるかに先輩なので、蔦重には妬みもあるのか、出会い頭に蔦重の足を踏みつけていました。
後に版元となって吉原細見を出版する。
この方は2022年の大河「鎌倉殿…」で新垣結衣(八重)の夫・江間次郎役で、気弱で優しい役柄でしたが、今回は180度も違い、その演技を比べるのも楽しみです。

里見浩太朗ー須原屋市兵衛
日本橋に店を構える漢籍や学術書、辞典などを扱う大手本屋の商人。その反面、平賀源内の本や杉田玄白の「解体新書」、政治評論家の林子平しへいによる「三国通覧図説」などの新しい本も積極的に出版する革新的な版元。


ベテラン名優たちにも注目!

今回はたまたま”江戸幕府”を描いたシーンはなく吉原サイドのみの展開でしたが、幕府側もこれから激動期を迎えますので、それが加わるとまたややこしくなりそうです。
今のうちにしっかり整理しておきましょう。

幕府側のキャストでは渡辺謙の田沼意次に加えて、私が今回注目しているのは石坂浩二の松平武元です。
吉宗、家重、家治(眞島秀和)という3代の将軍に仕え、この頃は「西の丸の爺」と呼ばれて絶大の信頼を得、事実上の執政として幕政を主導していた「老中首座」でした。
石坂浩二だと気付いた時は、こういう老臣がハマる年齢になられたのかと、その名演ぶりに唸るほど感心してしまいました。
ベテラン陣の名演技にも注目です。


花の井の女心に気付いてほしい

花の井が名跡を継いだ理由

鈍感だなぁ、蔦重は。
縁起が悪いとされる「瀬川」の名跡を花の井が何のために継いだと思っているのか。

「お前は男前だな」
とか言っている場合ではない。
目一杯の「女心」が、なぜわからない?

それも蔦重の細見・「まがきの花」が売れてほしいがための、一世一代の決心なのに。
前の4代目・瀬川は、和歌、漢詩、書、三味線、浄瑠璃などあらゆる芸事に通じ、その名をとどろかせた名妓でした。
ただ外見が紫式部に似ているという理由で「小紫」と名乗っていたそうです。
ん?紫式部は美人とは呼べなかったのではないのか?という一抹の不安はありますが、それはさておき、彼女は豪商、江戸屋宗助に身請けされた後、28歳の若さで亡くなったそうで、その死因が、自害かもしれないという、あくまでもの話なのです。

ドラマ中でも「間夫まぶが忘れられなかったのさ」とか言っていた笑顔に、どことなく翳りもありました。
5代目瀬川(小芝風花)にとって心の間夫は蔦重なんだけどなぁ。
見ている側は、瀬川の切なさが伝わって歯がゆくて仕方がありません。

実際にこの後、彼女にも波乱万丈の人生が待ち受けているのです。

蔦重の細見「まがきの花」

この本のタイトルの中の「まがき」ですが、竹や柴などで作った垣のことをいい、ここでは妓楼ぎろうの店先にある女郎たちが居並ぶスペース(張見世はりみせ)と客たちが歩く通りの境界に設置される格子の事です。

葛飾応為(北斎の娘)『吉原格子先之図』
壁紙ギャラリーKAGIROHI

夜ともなればそのまがきの隙間から光が漏れ、艶やかな遊女たちの姿が花のように咲き乱れている様子をそのまま表して、いかにも上手いタイトルだと思います。



さてさて、予告を見た限りではこのままトントン拍子に事は進まないようです。
次回は版元となり地本問屋の仲間入りができるまで、まだひと波乱ありそうですし、5代目・瀬川の運命の出会いもあるようです。
あちらもこちらも見逃せない展開を期待せずにはいられず、まだまだ気が抜けない展開に今から楽しみです。


※俳優さん方の名前は敬称を省かせていただいています。




【引用・参考】
美術展ナビ
サライ


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千世(ちせ)
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