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読書人間📚『十二単衣を着た悪魔_源氏物語異聞』内館牧子



『十二単衣を着た悪魔_源氏物語異聞』内館牧子


2012年5月  単行本発行 /幻冬舎
2014年12月  文庫本初版



紫式部が『源氏物語』にほとんど書かなかった、後に大后となる弘徽殿女御(こきでんのにょうご)の気高い人生を描く作品。

不遇にあり続け、品格と強さと時に見え隠れする母性の柔さと、『源氏物語』ではどの女達からも敵役として煙たがられてき大后の立場。現代でも手薄にあまり想像もされなかった哀しみを内館さんの目の付け所と思いやる優しさにより、訴えかけるように表されてれていきます。

そうですね、内館さんの作品は気丈な女性たちが多く登場するように感じます。と同時に柔和でもり、知性がある。更にこの弘徽殿女御の、煙たがられる程の能力にその女性像を追いかけたくなる気持ちも内館牧子作品ファンとしてよくわかります。

潔さは孤独でもあり、その強さが魅力的な弘徽殿女御が女性として、母としての人生がこうであったらとわたしも本作の弘徽殿女御が愛おしくてなりません。
わたしも何処か、誰かと繋がる遠い空を想うように宙に視線を漂わせ深い溜め息と共に読み終えました。




登場人物たちの言葉をいくつか引いておきます。

「人として一番つまらないのは、わたしのように毒も薬も飲めない者......」

「甘い。人は老い、時代は動く。いつまでも同じ人間が同じ場所に立っていられるはずがない。必ず若い者の世になる。それをわきまえることが大切。若い者には負けぬと、あがいたりみじめな画策をしないことが、人の品性というもの。若い者には負ければよろしい」

「水、学問は人間の背骨だ。親に死なれても何があっても、背骨があれば自信を持って生きていける。自信を持って生きていく人間を、誰も軽く見ない。兄は嬉しうてたまらぬ」

「雷鳴、能力は形にして見せるものだ」

ラテン的気質な「バジャーッカンカン」
これはいまいち掴めませんでした(笑)。



__あとがき 2012年4月__
『プラダを着た悪魔』ならぬ『十二単衣を着た悪魔』なるほど、納得。
途中、体を患いながら、4年をかけて書き上げられた作品とのこと。
わたしも忙しいながらに時間をかけて読め、4年もと知ると更に充足感に満ちた読書時間、作品でした。

527ページ、一度でも"光源氏"に興味を持たれた事がある方は是非。






解説 仁平道明
カバーデザイン  鈴木成一デザイン室
カバーイラスト  西村オコ





♟声、発声、機能を考える
ボイス・ボーカルレッスン/東京都 
歯科助手経験と音楽療法の観点からオーラルフレイル、口腔機能、老化防止を意識した呼吸法、発声のレッスンも行います。

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