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🔳『虹の色と鬱(うつ)〜名付けが脳に生み出すもの』

先日の夕暮れ時の帰り道、「日が縮んだなぁ」などと、目の前に迫った冬を、ぼんやりと思慕しながら歩いていると、ふと見上げた空の端に虹がかかっていました。

そこで頭に浮かんだのは、「虹って7色に見えないな」という無味乾燥な考え。
虹が7色だと提唱したのは、ニュートンだとされています。日本ではかつて「2色だった」とか、そんな話も。

ですが、日本には世界のどの国よりも多彩な色を表現する"名前"があります。
青と紫の間に藍があるように。緑色にも鶯(うぐいす)色や翠色(※カワセミの色)、青柳(春の柳色)などなど、挙げればキリがありません。

つまり、虹が7色に見えるのは、そこに脳が判別できる、それだけの種類の【名前】が存在するからなのです。

いまも、国によっては虹は「3色だ」というところもある中、私たちははそれだけ多くの言葉と感性を持っているのです。


話は変わって、心理学ではいわゆる鬱(=うつ)の解釈が非常に曖昧だとされていて、診断が下った瞬間からうつ状態からうつ"病"になります。

そこから、大して効果のない薬を飲み続けなければならなくなることを考えると、時間とお金ももったいないし、何よりラベリングが本人の中でも、社会的にもやる気を削ぐのではないでしょうか。

私は大学院で心理学も修めているので、このラベリングと薬の非有用性をよく分かっています。

【名前が与えられた瞬間から、事実として認知されるといういい例です。】

良くも悪くも、名前だけに囚われ過ぎると本質が見えなくなるもの。

このラベリングと、うつの原因等の科学の曖昧さについては、次回に言及しましょう。実はこれは現代社会にとって由々しき問題なんです。皆さん、驚くことが多いと思いますよ。


石破総理は、先日メディアで「共産党っていう名前を変えれば良いんじゃない?もう少し人気出るかもしれないよ」と、洒落っ気も含みつつ話していました。

これも名前が邪魔をしている事例の一つと言えますね。


そういえば先日の医師への取材で教えていただいた「うつと遺伝子の関係」の見解を、自分なりに最新研究の知見を織り交ぜながら噛み砕いてみました。
簡単に言うと、鬱は遺伝子と密接に関係しているという研究ですが、話が広がりすぎるので詳しくはまたどこかで。

医師の方も、同じように「ラベリングはときとして危険をはらんでいて、間違った方向に
うつの人を導いてしまう」と語っていました。

最新研究で慈恵医科大学の研究チームも、こう言っています。
「うつの人たちは自分を責める傾向があり、自分がダメな人間だと思ってしまう。でも、この(遺伝子)研究が進めば、うつは一般の病気なのだと認知されるようになる」

うつ病と、うつ症状というものがあり、うつ症状はもしかしたらみんなが抱えるものなのかもしれません。

ですが、うつは普通の病気で、特効薬があればすぐ治るのだとしたら......うつの人だって、自信を持って生きていけるはずです。

自分に自信を持てる研究。とても「ドラマチックでプラグマチック(実用的)」ですね。

堀部晨


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