おうちで中華 - 醃篤鮮(筍と塩漬け肉と豚肉の煮込みスープ)
筍の季節は、心が浮き立つ。今回は筍が出てきたら毎年必ず作る、上海ならではの春のご馳走スープをお届けしたい。その名も、醃篤鮮!
難解な名前だが、ちゃんと意味がある。すなわち、
「醃」=塩漬けすること。鹹肉(豚三枚肉の塩漬け干し)を指す。
「篤」=とろ火でコトコト煮込むこと。
「鮮」=生もの。生の豚肉を指す。「鮮やかな旨味」という意味もある。
つまりは、「塩漬け肉と豚肉をとろ火で煮込むスープ」という意味になる。面白いことに、主役の筍は料理名に入っていないのだが、それを入れると「筍と塩漬け肉と豚肉の煮込みスープ」だ。完成図は、こんな感じ。
醃篤鮮 腌笃鲜
yāndǔxiān
長時間煮込んで白濁したスープには、筍の香りと二種類の肉の旨味が溶け合っている。余計な味付けは一切せずに、香りと旨味の三重奏をしみじみと味わう。…フハハ!と思わず笑みがこぼれる豊かな味わい。これぞ滋味だ。
もちろん、それぞれの具も旨い。シュキュッとした筍の食感に春を感じる。いい具合に脂が抜けて柔らかくなった豚三枚肉もご馳走だ。鹹肉をかじれば口の中に凝縮された旨味が広がり、何度も噛みしめたくなる。
「これは優しくて深い味だねえ…!」
「煮込むだけの料理なのに、素晴らしくうまいな!」
面倒くさそうな料理に思えるかもしれないが、全ての食材を土鍋で煮込むだけなので、手間も技術もいらないし、失敗もない。ついでに言うなら、調味料すらいらない。必要なのは、美味しくなるのを待つ時間だけだ。
ということで、冬場に鹹肉を仕込んだ人は、必ず作ろう!ひと口ごとに自分の苦労が報われていくのを実感できるはずだ。鹹肉がない人は、冷蔵庫でじっくり熟成させた塩豚を使えば、似たものができるかも。
臓腑に染み渡る美味をお試しあれ!
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