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おうちで中華 - 純素酸辣湯(精進サンラータン)

今回のテーマは、酸辣湯(サンラータン)。簡単に言うと、片栗粉でとろみをつけた酸っぱ辛いスープだ。一応、四川料理や湖南料理ということになっているが、中国各地で食べられており、地域ごとに作り方や材料も異なる。

今回は、僕が長年暮らした上海の酸辣湯をご紹介する。しかも、我が家がよく通っていた老舗精進料理店「功徳林」に倣った精進バージョンだ。

精進に全く縁がない僕がなぜこれを推すかと言うと、普通の酸辣湯より材料も工程も少なくなるので簡単に作れるから。そして、その割に美味しさは普通の酸辣湯に勝るとも劣らないからである。


純素酸辣湯 纯素酸辣汤
chúnsù suānlà tāng

純素酸辣湯(精進サンラータン)

酸辣湯は、サンラータンという名前で日本にも伝わっているが、日本と中国では、酸辣湯の「辣」の意味合いが異なる。

日本の酸辣湯(サンラータン)の「辣」は、ラー油の「辣」。唐辛子由来の辛味だ。一方、中国の酸辣湯の「辣」は胡椒の辛味を指す。ラー油は使わず、胡椒をどっさり入れるのである。

「胡椒がからい」という感覚は、日本だと感じる機会があまりないが、大量に入れると確かに「からい」。この刺激と香りがスープを引き締めるのだ。

では、酸辣湯の「酸」は何かといえば、黒酢の酸味だ。これまた和食の感覚だと「入れすぎじゃない?」と思うような量をドバッと入れる。

大量の胡椒と黒酢。とんでもない味になりそうなところだが、これが不思議と旨い。とろみのついた熱々スープの中で溶け合った辛味と酸味が、ビシバシ食欲を刺激してきて止まらなくなる。

クセになる美味しさとはこのこと。

普通の酸辣湯には豆腐、鶏肉か豚肉、椎茸、木耳、筍、溶き卵など様々な具が入るが、精進バージョンでは肉や卵はそぎ落とされる。千切りにした豆腐と人参と木耳のみ。しかし、食べればそれで十分であることが分かる。

熱々のスープに胡椒の刺激が加わるので、食べれば食べるほど身体が温まってくる。一年中美味しいけど、冬にはとりわけ美味しく感じる気がする。

このスープ、作る過程も結構楽しいので、是非気軽にお試し頂きたい。詳しくは、レシピをどうぞ。

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