許してくれ、ファウスト!
ゲオルクは友人カールに誘われて
夏の休暇をザルツブルクで過ごすことに。
しかし、為替管理の制約から
国境を越えて持ち出せる金額は決まっている。
申請はしているのだけど許可が出ない。
そこで国境近くのドイツ側ライヘンハルに宿をとり
毎日国境を越えてザルツブルクへ遊びにいき
遊ぶお金は友人に出してもらうことにする。
ドイツ側では裕福だが国境を越えると無一文。
友人がいれば不自由はなく楽しめる。
ところがある日待ち合わせに友人が来ない。
カフェで珈琲を飲んでしまったが払う代金がない。
困った彼は居合わせた見知らぬ女性に
代金を払ってくれるよう願い出る。
一杯の珈琲からはじまる恋のはなし。
『一杯の珈琲から』
著者:エーリヒ・ケストナー
訳者:小松太郎
出版社:東京創元社
ISBN:9784488508036
他の本を読んでいる途中だったのだけど
ちょっと気分変えたくて読むことにした。
もう序文からおかしい。
作者の立場なら許してくれじゃない。
ケストナーのこういうところ好きだ。
話自体はゲオルクの日記形式で綴られる。
国境往来生活を開始してすぐに
ゲオルクは使えるお金を使い果たす。
計画段階では一応お金のこととか考えるのに
深く考えずにお金を使い果たし
あとは友人に奢ってもらう気満々。
珈琲代を出してもらった女性に
ひとめぼれですぐにキスしてしまう。
女性と過ごすための費用も友人に頼む。
ゲオルク、冷静に考えると結構なダメ男では……。
素直なんだろうけど。
しかし、友人も女性も彼のこと好きなので
彼と過ごすためのお金をためらいなく出す。
女性の家族含めみんな明るくておかしい。
特にお父さんかわいい。
登場するほとんどすべてのひとが
ポジティブで生活を楽しんでいる。
普段、恋愛ものは苦手で避けちゃうんだけど
これはクスッとしながら最後まで軽く読み通せる。
むずかしいこと考えずにサクッと読めた。
彼女がきみのものになった最後の理由がぼくはわかるような気がする。きみは彼女にきみの奥さんになってくれるか、と訊いたのだろう! (ぼくはいつも訊くのを忘れてしまうのだ。そのためにぼくはいつまでも独り者なのだ。なぜといって、森の中にむかって叫ばない人間は、驚かないですむからだ―しかしぼくの言わんとするところはすでにわかるだろう)
作者への序文の一部。
よくわかる。
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