男性の愛の感じ方
メインだけ変わる夕飯
『夕飯のメインが違うだけでサイドはいつも同じものばかり。頼んだふりかけも忘れられっぱなしだ。』
ふりかけがなければキムチ、梅干し、ひじきを食べれば良いんじゃない?
そう思っていた私は、ふりかけくらいでどうこう言うパートナーに正直呆れてしまった。
なにそれ贅沢なワガママじゃない?って。
プライドのない夕飯
『僕が帰宅してから作るようなものばかりで、愛が感じられない。CAやコーチと違って主婦としてのプライドはあなたにはないでしょう?』
そう言われると確かに私は、食に鈍感な方だと思う。
家で食べるものは同じでいい。美味しいご飯の甘みさえあれば、、、。
毎日違うものが出てくる夕飯
『じゃあ欧米みたいに3時間かけて作る料理が食べたいの?一日中料理してるみたいな私が良いってこと?』
段々と口調がイラつく私に彼が気を遣ってくれているのがわかる。
『そうじゃない、そうじゃないんだけど、毎日同じものは嫌だ』
正直、彼が何を求めているのか、全く分からなくなった。
手間をかけた夕飯
その日の夜はご近所さんと花火大会だった。
思いきってベテラン主婦さんに相談してみた。
『時間をかけてほしいという訳ではないみたいなんです。』
『それって手間をかけてほしいってことじゃない?』
『手間…それは一品増やしてほしいということ?』
『そうじゃなくて、一手間かけてほしいってこと。男の人ってね、好きなのよ、そういうのが。』
『!』
『例えば夕飯にオクラを出そうと思ったら、朝、茹でてダシに浸けて冷蔵庫に入れて仕事に行く。夕飯はそのオクラに胡麻をのせて出す。これが一手間、下準備ってことよ。』
下準備は即席で出来ない
そう考えるとなるほど一手間というものは即席ではできない。夕飯の下準備を朝するためには、その前の日の夜までにオクラ・ダシ・白ごまなどが家にある必要があるからだ。
材料だけではない。工程をイメージすると、朝の導線も考える必要があるし、就寝起床時間のみならず前日のスケジュールも変わってくる。
下準備ができる心の状態
夕飯にダシの染み渡ったオクラの胡麻和えを出すためには、少なくとも24時間前にはそのための準備が始まっているということ。
この
準備ができる状態 = 一手間かけられる状態
そう。
パートナーが求めていたのはこの心の状態。
もっと心を割いてほしい。
夕飯は、咲いた花(結果)に過ぎないんだと思う。
家族の胃袋のことを常日頃どれだけ考えているか
=家族への愛
即席夕飯では、花にいたる茎や根が見えてこない。
彼が感じたかったのはきっと、私の根っこの部分だったんだと思う。
『君が復職して家を空けるようになったら、僕たち家族はスーパーのから揚げやカレーばかり食べないといけなくなる。僕が仕事から帰って家事と子育てを一人でするようになるから。だから今はそういうものを食べたくないんだ。』
お金じゃ買えないもの
私は決して裕福な家庭に生まれ育った訳ではなかった。食事は似通っていて野菜中心でシンプルだったし、外食も冷食もほぼなく、家にはスナック菓子もなかった。おやつと言えば、母が揚げてくれるドーナツだった。
社会人になって家を出た私は、反動で外食をしまくった。自炊できるほどの料理への興味も意欲もなかった。
食べたいものがいくらでも食べられる。社会人独身時代はとても楽しかった。
でも体調を崩した時、食べたいと思えるものがなかった。
タコワサもカキピーも飽きた。
久々に実家に帰ると、大嫌いだったみそ汁がめちゃくちゃ美味しかった。
飽きないもの
母のご飯はとてもシンプル。当時は気付かなかったけれど、食べる度にホッとする母の味はお店では決して味わうことが出来ない。
この歳になり、ぶ厚いお肉が胃にもたれるようになってくるとますます薄味の母の味がありがたい。
適当だよ、といつも言いながら作っていた母だが、母親になった今、どれだけの小さな手間が積み重なっていたのか、身に染みる。
私たち家族の胃袋は間違いなく掴まれていた。
良い妻は胃袋を掴む
というのはイギリスの諺らしい。あんなに食に無頓着に見えるのに笑!
あちらはオーブンの文化。冷食のクレームブリュレ1つ出すにしてもオーブンで20分かかる世界だ。
蒸すとか浸けるとか
そういった見えない工程。
端折れない工程。
そこにかける手間を惜しまない姿勢が
男性の求める愛なんだと思う。
もしかしたら当たり前のことなのかもしれないけど、
当たり前にできないからこそ
当たり前にできる人に、男性は安心感を覚えるんじゃないかな。
今夜はおでんだよ~
という訳で今日は朝からおでんの仕込みです。
パートナーからのリクエスト、暑いのにおでんかよ!などとずっと無視しておりましたもので。
↑ダシしみしみ大根を目指す図
パートナーの食生活を考慮する
朝は一人でトースト、昼は一人でコンビニ弁当。パートナーが、帰って食べる夕飯を通して心も体もホッとできる時間を目指すということは、
きっとお互いに好きなことをして長く笑顔で一緒に居られるために大切なことなんだと思う。
倒れない程度に細く長く、
かけてみようっと。
一手間。