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Vol.4跳躍力の睡眠への効果

はじめに

いらっしゃいませ。
この記事は科学的な根拠に基づいてダンクシュートを達成するシリーズだ。

今回はその4つ目。
先に投稿したものを読んでいただくとより理解の助けになるだろう。
ぜひご一読いただきたい。

今回のテーマは睡眠だ。
みなさんは、よく眠れているだろうか?

では質問を変えよう。

睡眠に対して理解があるだろうか?

適切な睡眠を取ることによる効果は計り知れない。
はんたいに、不適切な睡眠であれば、よくない効果も多い。

たとえば以下である。

  • 運動スキルの定着

  • 心身の疲労回復

  • 神経系の回復や機能の維持

運動に関連する項目だけでもその効果はたくさんある。


だが睡眠の重要性を知ることは、生きる上での知恵だ。何もスポーツに限った話ではない。
この機会に理解をしておけば、今後の人生において大きな助けになることを約束する。

ふだんは論文や研究結果などの話を出して難しくする気はないのだが、スタンフォード大学の教授が答えたおあつらえむきのインタビューがあったのでここに引用して示す。

男子バスケットボール選手10人を40日間、毎日10時間ベッドに入れて、それがコートでのパフォーマンスにどう影響するか調査したものがあります。コート反復80m走のタイムとフリースロー、3ポイントシュートの成功率を毎日記録したところ、40日後には平均で80m走のタイムは0.7秒縮まり、フリースローは0.9本、3ポイントシュートは1.4本も多く入るようになったんです。
 もちろん、選手はこの間、毎日の練習でパフォーマンスが上達した可能性もありますが、スタンフォード大学の選手はセミプロレベルの一流が集まっていますから、特に練習内容を変えていないのに全員が突然レベルアップするというのは考えにくい。さらに、タブレット端末を使って図形が出るたびにボタンを押してもらうというリアクションタイムの評価でも、反応性が良くなったのです。
――実験後、選手たちはどうなったのですか。
 一部の選手で実験後のデータもとれているのですが、10時間睡眠をやめたところ、それらの選手たちの記録は実験開始前の水準に戻ってしまいました。これは睡眠によって選手の集中力、思考力が高まっていたと言えそうです。実際に実験中の選手からは、「すごく調子がいい」「ゲーム運びがよくなった」という声も出ていましたから。

(原文を読みたい方はこちら https://number.bunshun.jp/articles/-/843035 )

Number Web 米名門大教授が語る睡眠とスポーツ。
寝たらシュート成功率は上がる?より一部抜粋


なんということだ。もう結果が出てしまった。
「たくさん寝ればうまくなる」である。

すべての運動に当てはまる。
ここでは、特に私が考えるダンクシュートとバスケットボールへの効果を例に話していこう。


パフォーマンスが向上する


寝ることでなぜパフォーマンスが向上する=うまくなるのか。

これには睡眠の機能が影響している。
レム睡眠とノンレム睡眠ということばは聞いたことがあるだろう。
これらには別の機能が備わっている。
ノンレム睡眠には記憶の固定化に、レム睡眠は記憶の安定化にそれぞれ関与しているのだ。

たとえばより高く跳ぶために、踏切りの歩幅を検討するとしよう。
一歩目を踏み込み、踏み切るための二歩目をどの程度の幅にするのが良いのだろうか。
以下をお読みいただきたい。

どの跳躍においても、脚伸展力を発揮するうえで地面をける、その立ち位置が関係してくる。研究者らによれば、前後・左右に 0.13∼0.25m 程度の幅に開くことが跳躍高の増加 につながるとしている。
https://www.kri.sfc.keio.ac.jp/report/gakujutsu/2008/3-8/SB_07.pdf

慶應義塾大学 SFC研究所 一部抜粋

これを参考にすれば、前後・左右にそれぞれ13~25cm程度開くと科学的には正しい足幅になる。

あくまで垂直跳びの力学を研究した内容である点には留意してほしい。

ダンクシュートは数歩の走り込みを助走とする場合が多いので、垂直跳びに比べると足幅は広くなるはずだ。

しかしダンクシュートを行うために垂直跳びの練習をしないなんてことはあり得ないのでこれは我々にとって非常に有益な研究結果である。

前置きが長くなってしまったが、この足幅を基準に自分の身体の使い方を調整する。
それに加えて、沈み込み・跳び上がり・床からの反発の感覚・腕の振り上げなどを何度も繰り返し練習して身体に覚えさせていくだろう。

この動きを身体に定着させるために必要なのが睡眠なのだ。
すべての動きを司る脳みそに、その動きを情報として覚え込ませる。
「この動きの連続で身体を浮き上がらせるんですね」と認識してもらうわけだ。

ちなみに…レムとノンレムのどっちがどっちとかはあまり考えなくていい。
そこを深掘りするとややアカデミックな領域に突入する。

ここでは「睡眠には、ダンクに必要な動きを身体に覚えさせ、それを定着させる機能がある」という理解でよいだろう。

余談だが、これは仕事や勉強にも当てはまる。
睡眠時間を削るのは最後の最後、まずは起きている時間で不要なことを探し出してカットしよう。


神経系の機能を維持する

これも非常に重要である。
シュートの精度や、反応速度などが明らかに優位であることは先に引用した文章から読み取れた。

「寝ないと高く跳べないし、シュートも入らないよ」と言われているのだ。
これは無視できない。

睡眠は神経系のリカバリーを促す。
それは注意力や集中力を高めることになる。

集中できないなら、スポーツなど満足にできないだろう。
プレイの質を担保する前提となるわけだ。

疲労回復

おそらくこれが一番馴染みがあるだろう。
疲れたから寝る。嫌なことがあったから寝る

身体面の回復の重要性

いわずもがなだ。
寝ないと身体が休まらない。回復しない。
ほとんどの人がこれは理解できているだろう。

だが、どの程度の理解があるだろうか。

睡眠不足は、免疫細胞を活性化させる。そうなれば身体に本来であれば不要な炎症を起こしやすくなる。
また、ストレスホルモンの分泌の乱れによって、炎症の制御を妨げることもある。
わかりやすく言おう。エラーが起きやすくなるのだ。

炎症するのはどこか。
血管・脳・筋肉・関節・内臓。人体そのものである。

炎症している血管を通じて、全身に酸素を供給する。
炎症している脳から、身体を動かす指令が出る。
炎症している筋肉や関節で、スポーツの練習をする。
炎症している内臓(特に腸)から、栄養を吸収する。

おわかりいただけるだろう。
こんな状態で、スポーツのパフォーマンスが上がるだろうか?

精神面の回復の重要性


睡眠が不足していると、精神的な疲労を十分に回復できない。
これもまた致命的だ。

スポーツには精神的な強さを求める局面が多く存在する。
「やばい勝てないかも」
「外したらどうしよう」
そんなことを思っているプレイヤーに、タフな局面でボールは回したくない。

強い精神力を持つためには、日常的な練習のなかでワンプレイごとに課題を持って集中することを繰り返す他ない。

もちろんこれは、試合本番で力を発揮するためにも必要な前提だろう。

自分がすべての局面において高い得点率を誇る選手である」ように振る舞い、実際そうなるように行動する必要があるということだ。
そのためには、日々の練習に常に良い精神状態で挑めなくてはいけない

先の身体的回復でも挙げたが、脳が炎症しているならそれは平常時の状態とは違う。まともな判断は難しい。
精神力は思考の繰り返しで強化されると私は考える。
正常な思考は正常な状態からでなければ産まれない。

これはすべて睡眠の量を確保することでしか解消できない問題なのだ。

おわりに


では具体的にどの程度寝ればいいのか?どのような環境にすれば良いのか?
これはまた追って記事を書こうと思う。

具体例を挙げて説明する方が親切なことはわかっているが、この記事はいまだその段階にない。
まずは「頭で理解する必要」があった。
いきなり具体的な行動を説明していても、納得していなければ日常生活に取り入れはしないだろうからな。
そんなのは時間の無駄だ。

とにかく今の環境でできるだけ長く寝る。以上だ。

睡眠不足の恐怖を味わっていただけたら幸いである。
あなたと私の適切な睡眠が、明日の我々のパフォーマンス向上につながることを願う。

それではまた次回の投稿でお会いしよう。
ここまでご覧いただきましてありがとうございました。


p.s.
もしあなたがこの記事を夜に読んでいたなら、ここを最後に画面から離れよう。
そしてただちに寝支度を整えて、睡眠に入るのだ。
それがこの記事を読み切ったあなたが最初に得られる成果なのだから。

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