読書感想文:ムーン・パレス

先月、近所で開かれていた読書会に参加しました。その時におすすめしてもらった本を読んだので感想を書きます。普段、あまり小説を読まないので新鮮でした。


何だかまるで、運命が僕に呼びかけているのに、その言葉を聞きとろうと耳を澄ますたびに、それが僕の知らない言語で語られているいることを思い知らされるという感じだった。

ポール・オースター 著, 柴田元幸 訳. ムーン・パレス, 新潮文庫. 1997. (P401)



この本は「青春小説」というジャンルらしく、確かに 10 代後半の主人公が 20 代半ばくらいまでの自伝的な書き方で物語が進んでいく。


その時期にありがちな、根拠のない自信が文章に詰まっていた。

何かを得るには何かを失わなければならないとか、欲しいものは望んでいる時には手に入らないとか、そういった考えが理屈より先に経験で得られる感覚だ。
そもそも理屈があったとしても理解できず、運命という言葉を使いがち。



僕はまだ 25 年くらいしか生きてないが、運命のような何かに呼ばれている感覚を感じたことが何回かある。



茨城県にある大学院に横浜から通っていたときの話。

コロナ禍で大学院生ということもあり、月に1、2回だけ往復4時間以上かけて通っていた。僕は情報系の研究をしていたが、その時は社会学系の話題の方により興味が湧いていた。


「生きるためのフェミニズム パンとバラと反資本主義」を読んでいた。

この本の著者は、いわゆるホームレスの方を対象にしたフィールドワークをしたり、ベーシックインカムに関する研究をしていたりする人らしい。

本を読んでいると東京、横浜、大阪にある
「日本3大ドヤ街」の話題があった。
ドヤ街とはスラム街に少しだけ近い意味で、日雇い労働者が多く住んでいた街をいう。


横浜のドヤ街は、僕がよく行っていた図書館の近くにあった。
ああ、あのあたりは街の雰囲気が不思議だったけど、そういう歴史があったのかと納得した。


それから一週間後、茨城県の大学院に2日連続でいく予定ができてしまい、
往復の時間とお金を考えて一泊することにした。しかし、とても急だったので宿泊施設はほとんど空いていないか、空いていたとしても値段が高かった。

色々調べていると、東京から大学院のある駅の中間に安いホテルがあった。
一泊 3000円で共同シャワーのみだったが、近くに銭湯もあった。
すぐに予約した。


予約してからホテル周辺の場所を調べて、あることに気づいた。

ここは三大ドヤ街の1つ、東京の山谷だ


実際に僕はそのホテルに泊まることになり、まだまだ偶然は続くのだが今回はこの辺りで。



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Chiharu
お金には困っていません. 愛に飢えてます.