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齋藤芳生
2021年12月18日 22:25
来ましたね、冬。今年は12月に入ってもまだあたたかいな、と思っていたら、いきなりの氷点下。そして雪。大の寒がりである私にとってはつらいつらい季節・・・・・・。今回は、先月発売になった「現代短歌」2022年1月号で書かせていただいた「短歌歳時記 師走から睦月」を転載します。冬も寒さも大嫌い!なのですが、子どもの頃の雪を思い出すと、かじかんだ手がすこしあたたかくなる気がします。では、どうぞ。
2020年5月10日 00:30
もう卒業(卒塾)してしまったが、とにかく本が好きな中学生だった。 勤務先の学習塾の教え子が、「絶対に先生も気に入ります!」と言ってお店のカードをくれた、それが「信夫山文庫」であった。 信夫山というのは、福島市街地のちょうど中央にぽっかりと浮かぶようにある小さい山である。 その中腹(と、言っても山の入口から徒歩数分だ)にあるから、「信夫山文庫」。築百年を超えるという古民家を改修してつく
2020年5月2日 23:51
春よ、胸のハープシコード奏づれば木木は光の衣をぬぎゆく 永井陽子『樟の木のうた』なべて地上の音は空へと吹きのぼりそこのみしづかな真昼のカンナ 『ふしぎな楽器』ただ一挺の天与の楽器短歌といふ人体に似てやはらかな楽器 同 短歌と音楽、と問
2020年4月23日 00:05
こんな風が吹いているなら御所にゆきシロツメクサを探すだろうに「こんな風」とはどんな風なのか。この一首にことさらな説明はないけれど、「御所」という場所と、「シロツメクサを探す」という動作をもって、子どものころに誰もが一度は頬に受けたことのあるであろうそのあたたかさや明るさ、においがそっと読者に手渡される。しかしながら、結句の「だろうに」という詠嘆は、作者が現在いる場所が「御所」からはとても遠