授業

観察力をつけるためのVTS

前回の投稿では、VTSが有効と書いた。

しかし、実際はVTSは教師生徒ともに母国語で行うのが望ましい。
なぜなら、生徒が発言したことに対し、 先生が同じ内容を別の表現で聞き返す必要があるからだ。
この聞き返すという行為が行われて初めて、発言者は自分の考えが相手に伝わったことを理解できるので、とても重要だ。

しかし、当地においては、教師(私)も生徒たちも、コミュニケーションはカタコトの英語で行われており、双方とも語彙が十分でないために、別の表現により聞き返すことが難しくなっている。

そこで、まずはVTSを使って観察力を鍛えることに注力することにしている。
つまり、目に見えたものをどれだけ分解できるか、観察の解像度を上げる作業である。

さらには、見えたもの、気がついたことを一つのマインドマップに構成し、視覚的に発言を確認できるようにする。

下記はある専門学校でのマインドマップの実例である。週一回の授業で約2ヶ月の変化を見てみた。

まずは、最初に行った授業。階段に立つ少女の油画だが、最初に5分程度観察してもらい、まず何が見えたかを聞く。

そのご、何が見えましたか?何に気がつきましたか?という漠然とした質問を行う。
そうすると、十中八九、生徒たちは何を答えればいいのかわからないので、なかなか答えようとはしない。指名して無理に答えさせても「女がいる」だけで終わってしまう。「女だけですか?他に何もありませんか?」と聞いても「女だけです。他にはありません」というので、意地悪く「その女性は宙に浮いているということですか?」と聞くと、ようやく「いえ、階段に立っています」と答える。

その後は、同様に意地の悪さを発揮して、細かい部分(女性は老女ということでもいいですか?やその少女は裸なんですか?など)を詰めていくと、だんだん答え方をわかってくる。

下記はそのようにして1時間ほどクラス全員で考えた結果になる。

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1時間近くかかってこの程度か、というのはあるが、それでも最初にしては比較的答えられたと思う。

次は、2ヶ月後の変化になる。
LEGOの有名なポスターを題材にVTSを行った。
観察の解像度が随分と上がったことが一目了然かと思われる。
特に、このLEGOのポスターシリーズは、デザイン性が高いが故にかなり抽象的な内容になっている上に、カンボジアの人たちはほとんどLEGOのことを知らない。
もちろん教師側からのヒントはあるが、それでも未知の物事に対し、この解像度で考えられることができるようになったのは、大きな変化かと思われる。

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