心がほぐれる夜を過ごした【むき身クラブ】
30代だから、そろそろ先のことも考えないといけない。
飽きっぽい性格だから、新しいことを始めても続けられない。
この仕事しかしてこなかったから、今さら他の仕事なんてできない。
「自分を定義するもの」で、無意識に自分の行動にNGを出してしまうこと。
本当は私はどうしたいの?
心の奥底に聞いてみると、「本当はやってみたい。でも……。」と言っている。
ここ3年くらい、心がけていることは「なるべく自分のほんとうの声を聞くこと」
心がけるようにしてから、見えてきたことがたくさんある。
みんなが結婚したら家を買うから、私もそろそろ考えなきゃいけないな。(本当は、今はあまり欲しいと思っていないけど)
今までこうだったから、これからもこうする。(本当は、おかしいと思っているけど)
周りに「私らしくない」と思われそうだから、今まで通りに過ごす。(本当は、変わりたいけど)
思っていた以上に、私は自分で勝手に定義したものに凝り固まっていたことに気が付いた。自分に対しても、周りに対しても、自分が勝手に作り上げた定義。
*
最近、ビビッとくる言葉に出会った。
私の好きな本「私の生活改善運動」の安達茉莉子さんのラジオから。
「むき身になること」
すべての漠然とした不安から、自分を守るために「殻」で覆うようになった。
でも、自分の素直な気持ちは殻の奥にある。
身にまとった殻を脱いで、ただ、「むき身」の状態になること。
自分をひらくことで、自分と、誰かと、ただ一緒にいられるようになること。
こんなふうに解釈した。
茉莉子さんは、むき身でいることについて仲間内で話すことを「むき身クラブ」と名付けていることも知った。自分と、誰かと、ただ一緒にむき身になることを目指すクラブ。
これだこれだ!私のなりたい姿は!
殻を剥かれて、プリッとしたエビが思い浮かぶ、なんだか可愛らしい音も好きだ。
この時から、私の日々のテーマが「むき身になること」になった。
**
私にとってタイムリーに、「オンラインむき身クラブ」が開催されることを知った。
迷うことなく、すぐに申し込んだ。
案内メールが届いてから、「知らない人たちと、オンラインで話すんだよなあ。」と思い、緊張が遅れてやってきた。
コロナ禍に流行った、オンライン飲み会があまり得意ではなかった私。
終わるタイミングはわからないし、沈黙になった時に何を話そうと焦ってしまうんだよね。
たくさん殻をかぶってしまうかも……と不安もあったが、楽しみの方が大きかった。
茉莉子さんたちと、早くむき身になりたい!
「こんばんは〜。みなさん聞こえますか。」
茉莉子さんと、「むき身になりたい」20人が画面に映った。
カメラをオンにしているから、一人一人の表情がわかる。
なんだろう、この感じは。
知らない人しかいないのに、すでにあたたかい。
「むき身になることとは、自分を定義するものを外すこと」
「どっちでもいいけど、どっちかというとこっちの方がいいな、という選択をしていきたいよね」というお話から始まった。
はじめは「むき身ワーク」
「職場の人と、帰り道に一緒になってしまったとき」など、ウッとなってしまうシチュエーションを思い浮かべて、自分ならどうするかを考えるワーク。
茉莉子さんに指名されると、みんな少しずつ話し始める。
私なら、「なんとかして沈黙にならないようにする。帰りは一人でゆっくりしたかったのに、まだ気が抜けないなあ。」と考えていた。
私と同じような考えをもった人がたくさんいた。
ウッとなってしまう状況。
これは、「職場の人とは仲良くするもんじゃない」という、自分が作り上げたレッテル(殻)があるから、居心地がよくない、無理をしてしまうのであって。
「その職場の人が、10年後にはとても仲の良い人になっているとしたら」と思うと、あらかじめ安心感を持った状態で向き合えるよね。
自分からむき身になることで、安心して人と一緒にいられるようになるかもしれないよね、と。殻を作っているのも、閉じこもっているのも自分なんだな。
そのあとは「むき身セッション」
今、思っていることをみんなで話す時間。
ひとりの方のお話に、みんなが、うんうんと頷きながら聴いている。
チャット欄でも、「わかります」「とてもいい考えですね」「私も同じ状況です」と、あたたかい言葉が流れてくる。
ここでは、むき身の自分を受け止めてもらえるという安心感に包まれた。
私は、発言する勇気がなかったので、チャットで「自分が、今ほんとうのむき身なのか、まだ殻があるのかわかりません。」と言葉を置いてみた。
すると、「ほんとうのむき身でも、まだ殻があってもどっちでもいいんです。むき身であってもなくても、こっちの方がいいよね、という方を選んでいけばいいんだと思います。」と茉莉子さん。
またもや私は「むき身ならこうあるべき!」という定義に走ってしまっていた。
むき身になるということは、絶対に自分のことを見捨てないことだと茉莉子さん。
気付くと自分を見捨ててしまいそうになる私の心に、ずっと留めておきたい言葉だった。
***
あっという間の2時間。
住む場所も、年齢も、仕事も、何もかも違う、はじめましての人たちの空間で、
あたたかい場所が生まれたこと。これってすごいこと。
むき身になりたい人って、たくさんいるんだ。
不安な世界も、「私も、この人もあの人も殻と共に生きていて、むき身になりたいんだ」と思うと、安心感が生まれる。
そう思えたら、今よりもやさしい世界になるのかもしれないな。
全部は剥けなくても、時には殻を被っても、むき身になっていけたらいいな。
茉莉子さん、こんなにもあたたかい場所を作ってくださって、ありがとうございました。ぜひ、また参加したいです。
こり固まった心がほぐれた夜でした。
*
茉莉子さんのやさしい言葉で「むき身」が綴られているエッセイです。
先週の興奮が冷めず、うずうずして言葉に綴ってみることにしました。
改めて、すごい時間だったなあと思い返しています。
読んでくださって、ありがとうございます🌼