久々に江國香織さんの本を読んだらスイートだった
先日、待ち合わせまで時間があるからと、ふとブックオフで時間をつぶした。本屋に行くとつい探すのが、「昔好きだった小説家」の欄。
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私の人生において、一番本を読んでいたのは小学生~中学生のとき。
当時は本屋に行っては、気に入った小説家の本を集めていた。
特に集めたのは乙一さん、本多孝好さん、そして江國香織さん。
(※乙一さん、好きだったけどホラーやグロ系は苦手……。)
高校生になると部活に時間を注ぎ読書から遠ざかり、大学生や大人になると自己啓発やらビジネスやらマインドやら…手に取るのはそんな本たちになっていた。
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だから、小説を買うは久しぶり。
とりあえず昔よく読んでいた江國香織の文字が目に入ったから久しぶりに読んでみるかな、という気持ちで手に取った「スイートリトルライズ」。
なんせ、200円。
そして表紙はかわいいくま。
江國香織さんは、国語の教科書で出会った。「デューク」。当時の私は一気に心を持っていかれ「この人の話をもっと読みたい!」と思い、本を集め出した、気がする。
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ちまちま読むつもりが、気が付いた時には終わっていた。
内容を簡単に言ってしまえば、よくある、W不倫ものだった。
夫婦のずれだったり、夫婦間で失ってしまったものを外に求めてしまったり。
いわゆる、W不倫なの。ただの。
なのに、不思議なくらいあっさり塩味で読み終えられる。
はじめからおわりまで、大きな波は決してやってこない、ようにみえる。
穏やかで、静かな日常、のようにみえる。
「そうみえる」からすんなり読めるけど、本当は「そうみえる」だけ。
なぜなら、それぞれの人間味がいちいち胸を締め付けてくるから。
「不倫はダメ!」「不倫はお互いのせい!」だとか、そんなチープな話じゃなくて。
形を見ればただの不倫の話かもしれない。
でも実は、本質は全く違うところにある。(と思う)
だって、そこには淋しくも、愛があるから。
「こんなの、全然スイートじゃないわ。」
主人公である瑠璃子が、不倫相手に言うセリフ。
そう、恋って全然、スイートじゃないんです。
でも、
「それはとても、スイートじゃないか。」
と返される。
そう、恋って実は、ものすごくスイートなんです。
私には、不倫の経験はない。でも、
「私も今こんな恋をしているのでは?」と勘違いするほどリアルで、いちいち共感して、ちょっと苦しすぎるくらい。
おそらく、22歳頃の私だったら、ただただ「後味の悪い不倫物語」だっただろうな。
とりあえず、久しぶりに小説家の小説を読んだら、感情描写、アングル、カメラワークが完璧だなと感動させられました。
これからはもう少し小説に触れていこうと思った、そんな出来事でした。